昇級足踏みの藤井七段「最年少名人」を占う

2019年03月07日 11時00分

勝ったが昇級を逃した藤井七段

 将棋の第77期名人戦順位戦C級1組の最終戦が5日、大阪と東京の将棋会館で一斉に行われ、最年少棋士・藤井聡太七段(16)は関西将棋会館で都成竜馬五段(29)と対戦し、126手で勝利した。順位戦を9勝1敗で終えたが、前期成績による順位上位者である近藤誠也五段(22)、師匠の杉本昌隆八段(50)、船江恒平六段(31)も勝って9勝1敗とし、近藤五段と杉本八段が2枠ある昇級枠を確保。藤井七段の今期のB級2組への昇級はなくなり、「1期抜け」伝説はついえた。夢に掲げる「名人」には、一度足踏みする形となったが…。

 師弟で明暗が分かれた。

 東京・将棋会館で対局し、千葉幸生七段(40)に勝利し自力昇級を決めた杉本八段は「今回は昇級争いが目標だった。幸運だと思います」と安堵の表情を浮かべ、対局が続いていた藤井七段の結果を気にする様子を見せた。その直後、船江六段が勝利。将棋界32年ぶりの師弟同時昇級はならなかった。

 約13時間がかりで都成五段を破った藤井七段は、昇級がならなかったことについて「前回で敗れてしまったので仕方なかった。また一局一局積み重ねていければと思います」と語った。

 9勝1敗の成績を挙げた藤井七段と船江六段が昇級できないのは、厳しすぎるハードルにも映るが、棋士はどのように考えているのか。戦後最年長の41歳でプロ棋士となった今泉健司四段(45)はこう語る。

「これまでにも多くの棋士が、僅差で昇級を逃してきたわけですから、こればっかりはしょうがない。昔で言うと、井上先生(慶太九段)もそうだし、第70期C級2組での菅井(竜也)七段も9勝1敗の成績だったのに、10連勝が3人出て昇級できなかった。順位が上位で1敗しかしていないのに上がれなかったのは、さすがにそんなにいないはずなので、菅井七段の例が一番きつかったんじゃないかな」

 くしくも、2011~12年の第70期順位戦で菅井七段(当時五段、前期6位)に土をつけ、昇級を阻む形となったのが、同じ井上門下の兄弟子である船江六段だった。その船江六段も今回昇級できなかったのは何かの因縁か?

 小学生のころに掲げた「名人をこす」という夢に向かって、足踏みする形になってしまった藤井七段。奨励会三段リーグ、順位戦C級2組と続いた「1期抜け」はならなかった。それでも、谷川浩司九段(56)が持つ21歳という史上最年少名人の記録更新の可能性は残る。

 藤井七段を「タイトル争いの常連になる」とみている今泉四段は、史上最年少名人の可能性について「今回昇級できなかったことで、可能性がゼロとは言わないが厳しい。ただ、谷川先生が名人になったころと同じくらいの力は感じますし、彼は神の子といっていい存在。強い人は幸運の神様も引き寄せるので、今後どうほほ笑むのか楽しみですね」という。

 では、運勢的にはどうだろうか。関西将棋会館に程近い福島聖天通商店街は、多くの占い師がいる商店街として知られる。この日、同商店街で占いを行っていた運勢鑑定師の貴月紅妃さんの元を訪れ、本紙記者が代理でさいころを振り、最年少名人の可能性を占ってもらった。

 これまで約5万人以上を鑑定し、その鑑定力に幅広い支持が寄せられている貴月さんは、藤井七段について「信念がとても強く、動かざること山のごとし。動き方はじっくりどっしりで、常に冷静に反省して自身をコントロールして、自分で納得した上で、確実に一歩一歩上がっていくのを大切にされてると思います。山の人なので、今でも高いところにはいらっしゃいますが、16歳からの5年間は『ライバル多し』と出ている。21~30歳ごろの運のバランスが取れている。周りの皆さんは、谷川さんとの比較を期待すると思いますが、本当の花が咲くのは20代かもしれないですね」と語った。

 谷川九段も順位戦では一度つまずいている。「ここまで順位戦の将棋はじっくり考えることができていたので、今後も長い持ち時間を生かして頑張っていきたい」と語った藤井七段の新たな挑戦に注目だ。