経営不振が続く「大塚家具」の大塚久美子社長(51)が4日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、“絶縁中”の父で同社創業者の勝久氏(75)に和解を呼びかけた。単なるパフォーマンスと見る向きもあるが、実現したらこれが新たなビジネスチャンスになる可能性も…。

 大塚家具といえば、2015年に“お家騒動”が激化。株主総会を巡ってプロキシファイト(委任状争奪戦)にまで発展し、最終的に勝者の久美子氏が社長に返り咲き、会長だった勝久氏は同社を追われ、新たに「匠大塚」を設立した。

 以来、親子関係は断絶。勝久氏の口から久美子氏の名前は出ても、ネット上などで“家具屋姫”とも呼ばれる久美子氏が父について公に語ることは一切なかった。

 だが、この日の会見で久美子氏は「良い家具を長く使う価値観を共有する業者の協力団体をつくりたい。ぜひ父にも参加してほしい」と言及。続けて「(家具に対する)価値観は全く同じで、いつか理解してもらえる」と、和解をにおわせた。

 果たしてこの言葉は本心なのか? 同社OBは次のように語る。

「会見を見て驚きました。プライドが高いあの久美子氏が、毛嫌いする父親の名前を“出させられた”ことに対してです」

 3年連続赤字の大塚家具は先月、中国や台湾などの企業連合と米国系投資ファンドからの第三者割当増資などで、最大78億円を調達できる増資スキームを発表。増資を引き受けた中国向け電子取引企業「ハイラインズ」(東京)の協力を得て、中国でのネット販売を推進する。この日の会見にはハイラインズの陳海波社長も同席した。

「その陳氏が久美子氏に父親との和解を提案した。勝久氏のノウハウを吸収したいのだろう。陳氏の“指示”を受け、久美子氏が父親に言及したのだから、立場的には陳氏の方が上。大塚家具の社長は久美子氏だが、お飾りにすぎないということになる」(同)

 久美子氏はその後、勝久氏の匠大塚との経営統合について聞かれ「まだ考えていない」と否定。勝久氏も一部メディアの取材に「和解はない」と明言していたが…。

 一方で国内事業はどうかというと、2018年12月期の純損益は32億円の大赤字。かつては無借金、かつ180億円ものキャッシュフローや株券を保有していた超優良企業が、騒動以降、資産は38億円にまで落ち込んだ。中国進出に鼻息荒い久美子氏に対して、社内からは「国内店舗にも目を向けるべき」という声も出ている。

 実際、浮上のきっかけはその辺に転がっている。人気ユーチューバーのHIKAKIN(29)は先月28日に新居用に購入した家具一式を動画で紹介。大半を大塚家具で揃えたそうで、なかには背もたれが回転する高級ソファ(289万円)もあった。家具に費やした総額は推定800万円。動画の再生回数は340万回を超えている。その影響力はすさまじく、動画を見て来店するファンが急増中という。これを見て、別の同社OBが進言する。

「これほど波及効果があるとは、思いも寄らなかったはず。社内からは久美子氏のユーチューバー転身を勧める声まで上がっているそうです。万が一、勝久氏との“和解動画”を配信できれば、話題になること間違いなし。どうせ“客寄せパンダ”なのだから、徹底的に目立つべきです」

 HIKAKINの“爆買い”を受け、久美子氏は1日、ツイッターで「大塚家具をご利用いただきました。ありがとうございました!」と投稿。「アフターメンテナンスもしっかり致しますので、何なりとお申し付けくださいませ」とリプライ(返信)も送ったが、そのまま“弟子入り”してはどうか。