ちょっとした思いつきで店先に置いた「昆虫食自動販売機」の売り上げが大ヒットしている。この自販機が置かれているのは熊本市中央区の子飼商店街の一角だ。

 発案したのは当地でバルーンショップを経営する友田敏之さん(36)。

「ちゃんと稼働したのは昨年11月からです。本業のバルーンショップの宣伝のために、と考えました。ここまで売れるとは思いませんでした」

 自販機の上部には「昆虫食をはじめました」と書かれたプレートがあり、横には「世界初昆虫自動販売機」と書かれた垂れ幕がある。小学校の通学路にあることから、子供たちも買いに来る。人気も上々で口コミやインターネットで広まり、一時は在庫がなくなる商品もあった。「商品は食用昆虫を販売している国内外のメーカーから仕入れています。チョコバッタミックス(缶詰)が1300円で、コオロギのプロテインバー(ボトル入り)が750円。タランチュラ(缶詰)は1500円です。チョコバッタミックスはタイからの輸入品で爆発的に売れています。日本製コオロギのプロテインバーも売れています」

 この自販機を始めたのにはわけがある。

「国連が2013年に昆虫食を推奨していたんです。世界の人口が増えてきているのに起因したもの。でも、自分はそこを深読みしました。地軸もズレていったり、地球環境が変わっていったりする中で、国連は食料が足りなくなっていくことを隠して、昆虫食を推奨したんじゃないかと思ったんです。それなら、地元から昆虫食を広めていこうと思ったんです」

 昆虫食というとゲテモノといったイメージが強いが、実際に食べてみるとおいしい。特にコオロギのプロテインバーは絶品。コオロギの姿はなく、チョコレートにコオロギのプロテイン(たんぱく質)やナッツを混ぜているので抵抗感もない。

 友田さんは自社での製造も考えているという。今後、どんな展開を見せるのか、楽しみだ。