4月に日本の囲碁史上最年少の10歳でプロ入りする仲邑菫(なかむら・すみれ)さん(9)が20日、都内の日本棋院で女性世界トップクラスの台湾の棋士・黒嘉嘉(こく・かか)七段(24)と記念対局し、敗れた。

 菫さんは靴を脱いで、いすの上に正座して対局に臨んだ。対局後には時折笑顔も見せながら「今日はうまく打てたが、ヨセで失敗した」と対局を振り返った。黒七段は菫さんについて「この年齢でこれだけ打てるのは本当にすごい。間違いなく世界チャンピオンになれる」と話した。

 黒七段は昨年、日本で開催された女性の世界戦で準優勝した実力者。台湾ではモデルとしても活躍している。対局は菫さんが「定先(じょうせん)」というわずかなハンディをもらって打たれ、228手で黒七段が中押し勝ち。今回の対局で日本でも注目され、ネットでは「可愛すぎる」との反応が続々と発せられた。

 菫さんは1月5日、日本棋院が新設した「英才枠」でのプロ入りが発表され、大きな話題となった。これまで第一人者の井山裕太五冠らと記念対局を行ってきた。

 藤井聡太七段の活躍など、次々と実力ある若手棋士が台頭する将棋界とは何かと比較されることも多い囲碁界。

 2013年から日本棋院の評議員を務め、囲碁の発展に尽力している俳優の辰巳琢郎はこの日、奈良市内での「消費税軽減税率制度」PR活動イベント終了後、菫さんについて「一回お会いして、手ほどきを受けたいなと思ってます。新しいスターが出てくるのは囲碁界にとってありがたいことですね」と今後の活躍に期待を寄せた。

 この対局は、同棋院発行の週刊碁が主催する「新初段シリーズ」の一局として行われた。