テレビ番組などに出演し、その事業や高所得、イケメンぶりから「青汁王子」と呼ばれていた健康食品販売会社「メディアハーツ」(東京・渋谷区)の社長、三崎優太容疑者(29)が約1億8000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで東京地検特捜部に逮捕された事件が各方面に波紋を広げている。同容疑者は昨年、JRA馬主資格を取得し、同年7月に行われた競走馬の競り市・セレクトセールで計4頭を2億2400万円で購入していた。だが、今回の事件により馬主資格取り消しの可能性も出てきた。

 特捜部によると三崎容疑者の逮捕容疑は、2015年9月期と17年9月期の計2年間、架空の広告宣伝費を計上するなどして、法人税約1億4000万円を免れた疑い。消費税約4000万円も免れた疑いがある。

 また、法人税法違反ほう助などの疑いで東京都新宿区の会社役員、加藤豪容疑者(34)と同北区、事務代行業の内藤由美子容疑者(49)も逮捕。メディアハーツ本社には12日午前、特捜部の家宅捜索が入った。

 加藤、内藤両容疑者の逮捕容疑は、加藤容疑者が役員を務める会社の口座に架空の広告宣伝費を入金させるなどして脱税を手助けした疑い。

 ダイエット効果をうたった青汁の販売で注目された「メディアハーツ」。三崎容疑者はツイッターやブログなどで「月収は1億円」「別荘地を買った」などと、私生活を積極的に発信していた。

 同容疑者は脱税を否定した上で「国税の調査は『出るくいは打たれる』の一環だ。(国税当局が)締め付けたりいじめたりして、優秀な高所得者が海外へ流出している」と持論を展開。日本に納税したくないとの理由で、昨年12月に居住地を地中海のマルタへ移したとしていた。

 北海道出身で、07年に18歳でメディア社を起業し、14年に主力商品「すっきりフルーツ青汁」の販売を開始。高齢者向けのイメージが強かった青汁を若者に浸透させ「青汁王子」と呼ばれた。17年9月期の売り上げは約121億円で、16年9月期の約18億円から急成長していた。

 一方で消費者トラブルも。青汁の販売サイトに掲載された契約料金が実際より安く、消費者が誤認する恐れがあるとして、消費者団体が是正を求めて名古屋地裁に提訴。三崎容疑者は「国民生活センターのガイドラインに沿って改善している」と説明していた。

 三崎容疑者逮捕の影響は競馬界にも及びかねない。同容疑者は昨年JRA馬主資格を取得し、同年7月、北海道苫小牧市ノーザンホースパークで開催された高額馬が取引される「セレクトセール2018」に姿を見せ、ベガスナイトの2017(牡=父ハーツクライ)を1億1000万円で購入するなど、計4頭を2億2400万円で競り落としていた。

 当時、月収1億円といわれていることに「税金を引かれると手取りは半分くらいになっちゃうので、年間6億円ないんですけど、そう考えると結構インパクトのある買い物です。今まで1億円を超えた買い物は初めてなので、人生で一番高い買い物です」などと本紙の取材に明かしていた。

 会場には三崎容疑者が「飲みのセンパイです」というお笑いトリオ「ネプチューン」の名倉潤がテレビ番組の収録も兼ね応援に駆けつけるなど、テレビ出演などを通じて、芸能人との交遊もあった。

 気になるのは、脱税逮捕によって馬主資格はどうなるかという点。

「日本中央競馬会施行規程」によると「禁錮刑以上の刑が確定した場合、取り消し」となる。

「地検特捜部は三崎容疑者ら3人の認否を明かしていませんが、逮捕前の日本の税制批判、海外移住などの言動を見ると、同容疑者は否認を続けるとみられている。裁判でもその姿勢を続けて、控訴、上告するとなれば刑の確定はそれだけ時間がかかるが、確定までは馬主の資格は続くことになる」(競馬関係者)

 馬主の資格を失えば、競馬界にもダメージが広がる。三崎容疑者を番組で取り上げ、持ち上げていたテレビ局、広告収入を得ていたメディアにも同様に逮捕の衝撃が走った。