バカに付ける薬はない!! 回転ずしチェーン「くら寿司」のアルバイト従業員が、ゴミ箱に捨てた魚を調理するような動画をインスタグラムにアップして炎上し、運営会社が6日、謝罪に追い込まれた騒動が拡大している。運営会社は迷惑店員に法的措置を検討。つい最近も「すき家」で同様の事件が起きたばかりだが、繰り返されるSNSへのおバカ投稿に、企業側はどんな防止策を取っているのか。また、“バカッター”従業員が背負う代償とは――。

 問題となったSNSの動画を見ると、くら寿司の厨房と思われる場所で店員の男が、まな板の上で包丁でさばいた魚の切り身を「これは捨てます」と言いながらゴミ箱に投げ入れた。ところが、直後にゴミ箱から拾い上げ、再びまな板に乗せた。ふざけた様子の動画には「き○がいではないって(伏せ字は本紙)」のテロップも付け加えられていた。

 これだけでも問題だが、衛生的に問題がある魚がそのまま調理され、客の口に運ばれていれば、もっと大問題になる。動画に写った男と撮影者、少なくとも2人のアルバイト従業員が関与しているのは明らかだ。

 くら寿司を展開する運営元のくらコーポレーションは6日、この動画が大阪府の守口店で撮影されたとし、公式サイト上で謝罪した。

「類似の事故が様々なチェーン店で多発しており、当社も日頃からその対応を懸命に行っておりましたが、力およばず同種の事件が起きてしまいました」。ガックリしたような文言は、本紙も報じた1月末の「すき家」のアルバイトによる「おたま股間当て動画騒動」の直後とあって苦悩が感じられた。

 関係者への聞き取りで「食材は、その場で廃棄処分し提供されていない事を確認致しました」ともコメントしたが、ネット上では「くら寿司行く気失せた」などの意見も多く、会社が受けたダメージは計り知れない。

 同社広報によると、客からの連絡で4日に事態を把握。事実関係の確認を進め、5日に同店アルバイトの2人に対するヒアリングを行ったところ「自分たちの動画であると認めた」ため、6日に謝罪を発表した。

 男の名札から、ネット上ではすでに関係者の身元を特定し、誹謗中傷するような炎上も起きている。広報担当者によると、従業員らは憔悴しきってまともに話すことができないという。

 同社へのマスコミの問い合わせは「なぜ?」に集中しているという。

 顔も名字も隠さない動画投稿のため、本人もダメージを負うことはわかりきっている。なのに「なぜ」バカな動画をアップするのか。

 広報担当者は「過去の騒動もそうだが、リスクを想像できていたら、こんなことはしていないのでは。問題が起きて初めてわかるんでしょう。我々も理解できません」と困惑。投稿のヤバさに気付いたのか、投稿が拡散されて焦ったのかは不明だが「投稿から3時間後には自ら消した」と説明しているという。

 同社は対策も講じていた。くら寿司ではアルバイトの新人研修において「機密情報の外部漏洩」や「過去のバカッター騒動」を例に勤務中のスマホ持ち込み禁止を通達していたという。

「モラルは伝えていたつもりでしたが、この結果ですから『つもり』だったことになる。我々だけが被害者であると言うつもりはない。新たに対策を考えないといけない」(担当者)

 従業員は解雇は免れず、法的には損害賠償も求められる見込みだ。過去に同様の事例が山ほどありながら、想像力のないおバカ投稿を繰り返す。その後、騒動になれば、客離れによって店や運営会社が負った損害賠償を請求されるのは当然だ。

「全国チェーンの店なのでどれくらいの損害となるか不明ですが、こうした不適切投稿の場合、店や会社側と当事者との間である程度の金額を支払うことで和解になるケースがほとんど。金額はアルバイトの給料で簡単に支払えるレベルではないので、結局は親、きょうだいに多大な迷惑をかけることになる」(法曹関係者)

 かつては主にツイッターで発信したことから、“バカッター”と問題視されたおバカ画像の投稿者たち。いまやインスタグラムなどでも行われている。彼らはまだ事の重大さに気付かないようだが、悪ふざけの代償はとてつもなく大きくなることを忘れてはならない。