昨年10月27日に原発不明がんのため亡くなった女優の角替和枝(つのがえ・かずえ、本名柄本和枝=えもと・かずえ)さん(享年64)の「お別れの会」が30日、東京・世田谷区の「北沢タウンホール」で営まれた。

 バラやコチョウラン、カーネーションなど4000本の花で祭壇が彩られ、写真家の浅井慎平氏が撮影した遺影が掲げられた。

 喪主のあいさつに立った夫で俳優の柄本明(70)は「おととし8月に人間ドックで(がんが)見つかって、家族一丸で病気と闘っていたんですけど、厄介な病気でして…。まだ64歳でしたから残念です」と涙ながらに語った。

 初めて会ったのは21~22歳のとき。柄本のひと目ボレだった。毎日、日課のように通った喫茶店があったが「行けないんだよ。思い出しちゃって…」と声を震わせた。それでも「子供も3人できて…3人とも思いやりのある、いい子供たちです」と亡き妻に感謝した。

 そして「今は一生懸命ご飯を食べ、毎日しっかり寝るようにしています。まだどこかにいる感じで泣けない感じもある。泣きますけど。悲しみ、寂しさ、不条理、それを糧にしてこれから生きていくんだと思います」とし、最後は「和枝ちゃんも自分が住んでいた場所でこういう会ができて、うれしいと思う。幸せな人生だったと思います」と締めくくり、最愛の妻に別れを告げた。

 会には国村隼、大竹しのぶ、佐野史郎、浅野忠信、高田純次、笹野高史、ベンガル、石橋蓮司、六角精児らが参列し、故人をしのんだ。