牛丼チェーン店「すき家」の男性アルバイト店員2人が氷を床に投げつけたり、調理器具のおたまを股間にあてがう行為を撮影した“おふざけ動画”について、すき家を展開するゼンショーホールディングスは29日、公式サイトで謝罪した。動画は自動削除機能を使ってインスタグラムに投稿されたものだが、他者にツイッターで拡散され大炎上。かつて社会問題化した“バカッター(いたずらや非行の様子をツイッターに投稿するバカな行為)”騒動は、なぜいまだになくならないのか――。

 SNSで広く拡散されて炎上している動画には、すき家の制服を着た若いアルバイト店員2人が営業時間中に「ヤバイ、絶対クビ」と言い、氷を床に投げつけたり、調理器具のおたまを股間にあてがう様子が撮影されている。

 動画を紹介したテレビのワイドショーでは「度が過ぎる!!」という批判の声が噴出。

 ゼンショーはこの日、公式サイトで「当社従業員による不適切な行為についてのお詫びとお知らせ」を掲載。「当社従業員が当社の運営するすき家の店内において、不適切な行為を行ったことが、web上への動画掲載により判明いたしました。お客さまには大変不安・不快な思いをさせてしまいましたことを心より深くお詫び申しあげます」と謝罪した。

 続けて「当該行為が行われた店舗および従業員はすでに特定しており、本件に関与した従業員は社内規定により処分いたします。二度とこのようなことが起きないよう、今後一層の従業員教育を徹底してまいります」としている。

 問題の動画には「くびかくご」というテロップがつけられていた。インスタグラムの24時間で投稿内容が消える“ストーリー機能”を使い投稿されたものだったが、動画は別の人がツイッターに転載して炎上した。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「クビ覚悟を意味するテロップは、単に面白いと思って載せているだけ。動画をSNSにアップすることで批判を浴び、損害賠償などを負う可能性までは考えていない」とバッサリ。

 アルバイト店員が勤務中などにおふざけ動画や写真をツイッターに投稿し炎上する“バカッター”が社会問題化したのは2013年ごろ。以後も同様の行為が繰り返された。

 しかも、すき家といえば、15年に女性アルバイト店員がブラジャーをずらして胸を出したり、ズボンを脱いで恥部を露出したわいせつな写真をバイト中にツイッターに投稿して問題になった。

 井上氏は「面白いと思って投稿することに男女差はない。悪ふざけ動画は、スマホで簡単に動画の撮影ができて、ボタン一つでSNSに投稿できる。10年前、ある学校の男子生徒がお正月の神社で力仕事をしている時に、上部がガラスで下部が木でできているドアに隠れて、フルチンでバイトをする写真を投稿したこともあった。いつの時代も、そういったことを思いつく人は出現する」と語る。

 井上氏は、若者がなぜネット上に悪ふざけが過ぎる動画や写真を投稿するかについて、若者にインタビューをしたことがあるという。

「彼らは基本的に、ネットはいろんな人が見るというのを気にしておらず、友達だけが自分の投稿を見ていると勘違いしている。『俺ってこんなに面白いことができる』という感覚などを自慢するために、動画を投稿する。でもそれは、たとえば投稿を見た友達が『こんなバカなやつがいるんだよ』と知り合いに見せて、それがどんどん広まっていく。最終的にはそれを見て不快に思ったり、怒りを覚える人も出てくる」

 何も考えず、やりすぎた悪ふざけ動画を投稿してしまう若者へ向けては「SNS上に投稿したものを見ているのは友達だけじゃない。それとおふざけ動画は炎上するので気をつけたほうがいいですね…」とあきれた様子でアドバイスした。