数百円で数百万円レベル音質「純セレブスピーカー」命名の真意

2019年01月29日 11時00分

安冨氏(左)と片岡氏

 経費数百円の段ボールで作ったスピーカーから、市販の数十万~数百万円の製品と同等の音が出る!? その名も「純セレブスピーカー」が登場したのは、東京大学東洋文化研究所で先ごろ開かれた「純セレブ文明の夜明け~道(タオ)の思想に基づく非線形スピーカーのよろこび~」という展覧会。ユニークな命名ととともに話題になりそうだ。

 このスピーカーの研究開発を行っているのは、経済学者で東大東洋文化研究所の安冨歩教授と、打楽器奏者で作曲家の片岡祐介氏だ。

 安冨氏はきっかけについて「昨年4月に購入した新車に備えつけられていたスピーカーの音質が良くなかったので、取り外したスピーカーユニットを片岡さんにあげようと思ったのです。すると『段ボール箱に穴を開けてスピーカーユニットを差し込むと簡単に作れますよ』『箱の中にクシャクシャにした紙を入れてください。できるだけいろいろな種類の紙を交ぜてください』と言うので、ちょっとやってみたところビックリするほどいい音が流れてきました」と語る。

 これが歴史的な「純セレブスピーカー第一号機」となった。意気投合した2人は、そこから“純セレブスピーカー”の研究開発に取り組んだ。素材は段ボールはもちろん、ダルマや和紙などを使ってさまざまな試作が行われた。

 片岡氏は「純セレブスピーカーというのは、段ボール箱などにスピーカーユニットを差し込んだだけの簡素なスピーカーです。箱内にクシャクシャにした紙類を入れて、空洞の形を複雑化します。これによって箱鳴りを抑えることができます」と言う。

 命名もユニークだ。セレブとは本来、英語では「有名人」、日本語では「金持ち」というような意味だが、この「純セレブ」というのは、そのような根拠を必要としていない、純粋なセレブのことを指している。「純セレブ」は「自分がセレブだと悟る」ことによってのみ存立する究極のセレブであり“純セレブスピーカー”は、この純セレブ思想を具現化したものだという。

“純セレブスピーカー”は「数十万円~数百万円のスピーカーを超える音質」を兼ね備えているだけではなく、うっとりするような大人の時間や空間を与えてくれるものになりそうだ。