日本での興行収入もついに100億円を超えた映画「ボヘミアン・ラプソディ」。今週発表された米アカデミー賞候補でも、主要部門の作品賞や主演男優賞を含む5部門にノミネートされた。ところがアカデミー賞同様、どの映画賞でも監督賞だけはスルーされているのだ。それもそのはず、同作品でメガホンを取ったブライアン・シンガー監督(53)が、映画完成直前に突然クビになっていたからだ。

 シンガー監督といえば大人気の「X-MEN」シリーズやトム・クルーズ主演の「ワルキューレ」(2008年)を手がけた、今やハリウッドを代表する巨匠。今回の「ボヘミアン・ラプソディ」も世界ですでに8億ドル(約880億円)を売り上げている。

 そんなヒットメーカーの衝撃解任について、当初は「主演のラミ・マレックらキャストや製作サイドとの確執」「家族の事情」などとされていたが、真相はどうやらシンガー監督の少年らへのセクハラ行為や性的暴行の数々が明るみに出たことだったようだ。

 米誌「アトランティック」最新号は今週、シンガー監督が過去20年にわたり、不適切な性的行為を繰り返したとする告発記事を掲載。被害者は50人以上にも及ぶとし、告発者の実名や写真入りで報じた。中でも「監督解任の直接原因では!?」とされるのが、未成年だった少年に対するレイプ疑惑だ。

「ボヘミアン――」クランクアップまで3週間を切った2017年12月7日、多くの関係者にとっては寝耳に水の監督降板が報じられた。そのわずか3日後、セザール・サンチェス・グスマンというシアトル在住の男性が「2003年、まだ17歳だった時、シンガー監督にレイプされた」として監督を提訴したのだ。

 おまけに翌日には米芸能サイト「デッドライン・ハリウッド」が監督の元恋人だという男性の衝撃インタビューを掲載。内容は監督との“薬物と乱交の日々”を赤裸々に語ったものだった。

 一方、シンガー監督はアトランティック誌の記事に対し弁護士を通じ、一連の疑惑を完全否定。告発者たちは監督の名を使った金銭目的の売名行為だと批判した。