海外アニメ関係者が語る日本アニメ海外進出のカギ

2013年03月22日 18時54分

 日本アニメの海外進出には何が必要なのか。東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催中の「東京国際アニメフェア」で21日、海外のテレビ局バイヤーや制作プロデューサーを招いてのシンポジウムが行われた。


 同シンポジウムは日本貿易振興機構(JETRO)が主催し、米「カートゥーン・ネットワーク」のブライアン・A・ミラー氏、ブラジル「BAND」フェルナンド・スゲノ氏、UAE「Spacetoon」アマール・ビタル氏、ドイツ「Universum Film」アンニャ・パラッシュ氏、フランス「Canal+ Group」デビット・ベシエール氏の5人が参加した。
 
 政府は現在「クールジャパンを世界に誇るビジネスに」とアニメ、ゲームなどの輸出に積極的な姿勢を見せている。ただアニメ企業の海外収益推移は2006年の31億円をピークに年々海外での売り上げが下降傾向。アメリカのアニメチャンネルでは日本アニメの放送が減少傾向にある。その一方、JETROの調べではアニメに登場するラーメンやカレーライスが欧米、アジアの消費者に受け入れられるようになってきているという。

 

 実際アメリカのブライアン氏は「日本アニメのクオリティーは年々高くなっている」とコンテンツの力は落ちてないと語るなど、日本産アニメを求める声は多い。特に強い関心を見せていたのがUAEのアマール氏だ。所属する「Spacetoon」は中東、北アフリカなど22か国で日本のアニメをすでに放送。アラブでも人気スポーツのサッカーを題材とした「キャプテン翼」や「ドラゴンボール」「NARUTO」などは人気が高い。またハイティーン向けのテレビ局では「ブリーチ」「バジリスク」「銀魂」なども放送されている。

 

 アマール氏は「日本のアニメは人気でチャンスが多い。MENA(中東と北アフリカを合わせた市場)は若者の比率も多く、25歳以下の人口が50%を超えている。私はぜひ日本の会社に中東に入ってもらいたい。ビジネスチャンスは多い」と将来性のある中東市場への参入を期待した。


 イスラム圏での放送で重要なのがイスラム教への配慮だ。アマール氏が例として2001年に「ポケモン」のアニメやカードゲームがサウジアラビアで放送禁止となった件。「まずカード交換を行うことがギャンブルと見られた。さらにポケモンの進化がイスラムの教えに反するとされた(※イスラム教では基本敵に進化論は受け入れられていない)」。また別のアニメでは神様同士で戦うことが問題となりそうだったが「神ではなくヒーロー同士の戦いとすればOK」とストーリーを現地に受け入れやすい形に変えさえすればいいという。世界的に人気のハロー・キティも中東では民族衣装のブルカをまとうなど既に現地の文化に合わせている。

 

 さらに各国パネリストが口を揃えたのが共同制作の重要性だ。「われわれのノウハウ、知識があればストーリーを変えたりとグローバル化できる。すでにカナダと共同制作を行っており、日本ともぜひしたい」(アマール氏)、「共同制作であれば政府からの援助も期待ですきる」(ブラジル・フェルナンド氏)。ほかにも「ウェブページに一枚写真を載せるにも日本からの承認を待っていたのでは時間がかかりすぎる」(フランス・デビット氏)と作業の効率化にもつながりメリットは大きいという。

 

 ローカライズでいえば昨年末からはインドで「巨人の星」をリメイクした「スーラジ ザ・ライジングスター」の放映がスタートし視聴率も好調だ。また日本のアニメ企画、製作会社「ディーライツ」がドバイ、韓国と手を組んだ共同プロジェクト「SCAN2GO」はアメリカ、イタリア、東南アジアなどでも放映されている。2013年秋にはディズニーとバンダイナムコグループの共同制作によるアニメ「パックマン」がアメリカのケーブルテレビで放送される。今後もこうした形での日本アニメの世界進出は増加していきそうだ。