ハリウッド俳優のヒュー・ジャックマン(50)が21日、都内の日本記者クラブで行われた映画「フロントランナー」(2月1日公開)の来日記者会見に出席した。

 1988年、ジョン・F・ケネディの再来と言われ、当選確実と目されていた当時46歳の若き大統領最有力候補(フロントランナー)だったゲイリー・ハートが、女性スキャンダル報道で失脚した事件の真相に迫る物語。政治とジャーナリズムのあるべき姿を問いかける。

 1年ぶりの来日となる親日家のジャックマンは「ハーイ、おはようございます。ありがとうございます」と日本語で語り始めると「また東京に戻れてうれしい。この作品は今話し合うべき議論を巻き起こすと思う。ジャーナリズムを専攻し、21歳で大学を卒業した。もしかしたら、今私があなた方の席に座っていたかもしれない。それだけに、政治とジャーナリズムのあり方を変えた岐路になった物語に関心がある」とコメント。

 膨大な資料に目を通し、歴史の分岐点に迫ったジャックマンは「人生で一番つらい3週間の物語だが、彼は家族と選挙制度自体の神聖さを守りたかった言っている。つい最近、妻と61回目の結婚記念日を祝ったと聞いた。彼は当時も今も理想主義者で、若者に影響を与える存在だった」と、現在82歳になるゲイリー・ハート氏を思いやった。

 そして「スティーブ・ジョブスとガレージで食事して『これからはコンピューターの時代だ』と予見するなど、政治家として10年、15年先を見ていた。このような人物が大統領になったら、違った世の中になっていたのでは。より良い世界を築けた人だと思う」と実現しなかった、もう一つの世界について言及した。