かつて「ポスト明菜」と脚光を浴びた1980年代アイドルのステージ衣装が「本人依頼」と称し、フリマアプリ「メルカリ」に超高額出品されている。アイドルマニアの間で話題になっているのは83年にデビューした小出広美(52)。活動期間1年弱、シングルを4枚出しただけで引退した“幻のアイドル”だ。

 出品されているのは小出のデビュー曲「タブー」、セカンドシングル「チェンジLOVE」と第4弾シングル「心はプリズム」の衣装。半年ほど前の出品時は「タブー」衣装が120万円、残り2着は100万円だったが、昨年末に半額まで大幅値下げされ、今はタブーが60万円、後の2着が50万円。それでも高額なためか、まだ売れていない。

 3点とも、現物写真とともにその衣装を着てテレビ出演している小出のキャプチャー画像も掲載。出品説明には「本物」「本人依頼」「小出広美本人から直接手渡し可能」などとある。閲覧者の「本人依頼ですか?」との質問に、出品者は「小出広美本人からの依頼で出品しております」と回答している。

 プロフィル画像を見る限り、出品者はホスト風の若者。楽器や家電などの販売実績が50近くあり、購入者からの評価は「良い」がほとんどで「普通」が2、「悪い」はゼロだ。発送元は小出の地元・愛知県。

 調べてみると昨年6月、ニュースサイト「アサ芸プラス」の取材に、なんと本人が出品を予告していた。小出は「当時、衣装は1曲につき1着しか作ってもらえなかったんですね。つまり、私の汗と涙が染み込んだ衣装。もしファンの方に落札していただいたら、クンクンかぎ回ることは、想定済みですが」と語っている。

 小出のアイドル時代はナゾだらけ。83年夏のサードシングル発売直後、中森明菜(53)が当時いた大手所属事務所へ移籍したが、翌84年春、第5弾シングルのリリースがお蔵入りになり、事務所を突然辞めた。

「曲がマイナー調でキャラがかぶるから、1年先輩で当時大ブレーク中の明菜が『クビにして』と事務所に頼んだ――との都市伝説もある。9年前にも、ベスト盤CDのリリース告知がありながら直前で発売中止になり、これは“80年代アイドル7不思議”の一つです。昔のアイドルのレコードをCD化したベスト盤は、ある程度のアイドルのはほぼ全て発売されていますが、小出広美のCDはなく、ユーチューブとかでしか聴けません」(あるアイドルマニア)

 事務所を辞めた理由について本人は、前出の直撃取材で「レコード会社や間に入った会社とのゴタゴタ」と答えている。同サイトの4年前のインタビューでは明菜についても聞かれており「大きな楽屋で一緒になったことはあったけど、距離も遠くて、直接言葉を交わしたことはないんですよ。『同じブティックで衣装を買ったね』と、ある人を介して言われたことはありますけど」とだけ答えている。

 これまで小出は「あの人は今」的な企画でメディアにたびたび取り上げられている。

 アイドル引退後の87年、グラドルに転身し、10年近い活動期間中にはヘア写真集も数冊出版した。その傍ら、銀座のクラブでホステスを始め、ママに上り詰めたが、2011年の東日本大震災を機に店を畳み、米国へ約3年間移住。現地では飲食店バイトと並行して和雑貨の卸業を始め、帰国後もその輸出業、配膳係などの派遣業、トイプードルのブリーダー業…とまさにジェットコースター人生だ。

 トップアイドルが豊作だった82年と84年デビュー組に挟まれ、83年は「アイドル不作」と言われる。ただ83年組アイドルの中でも大沢逸美(52)、桑田靖子(51)、小林千絵(55)、徳丸純子(52)、木元ゆうこ(52)、森尾由美(52)、松本明子(52)は商魂たくましく「不作と言われた私たち」と開き直って「お神セブン」を結成し活動中だ。

 転んでもタダじゃ起きないのが83年組の強み。「お神セブン」には入っていないが、小出も波瀾万丈な人生経験を武器に再起を図ってほしい。