【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】フィリピンは今、ミス・ユニバース世界大会(先月17日)へ送り出し優勝したカトリオナ・グレイさん(25)フィーバーに沸いている。地元では歌手やモデル、女優として活動していたが、人気はうなぎ上り。開催地タイから帰国後は取材が殺到し、昨年末にはドゥテルテ大統領を表敬訪問するほどのスーパーセレブになった。

 そんな中、熱帯低気圧「ウスマン」がフィリピンを直撃。地元邦字紙「まにら新聞」によれば、年末年始にかけルソン島南部では洪水や地滑りで死者・行方不明者が計150人出た。

 そこでグレイさんの出番。世界一のミスになって以降、フォロワーが急増し、今や400万人に達する勢いのインスタグラムで「現地の災害対策チームは、水やインスタント食品、毛布、防水シート、その他の救援物資を必要としています。それに赤十字でも現金や救援物資を受け付けています」と呼び掛けた。その投稿は一気に拡散し、復興の一助に。

 グレイさんはもともと、マニラのスラム街トンドで幼稚園をつくるなどしていた。ミス・ユニバースには美貌だけでなく品位や社会貢献も求められるだけに、こうしたボランティア活動も優勝理由の一つだろうと地元では評判だ。

 新年には渡米。ニューヨークを拠点に今後、ミス・ユニバースとしての活動を始める。SPに警護され祖国を飛び立ち、ニューヨークの空港では現地報道陣や一般人に囲まれ洗礼を浴びた。今後は発展途上国を回り、貧困や難病に苦しむ子供たちを支援したり、HIVについての知識を広めるなどしていく。そんな慈善活動は、次のミス・ユニバースにバトンタッチする年末まで続く。

「ミス・ユニバース2018」では米国代表が、ベトナム代表とカンボジア代表を英語力が低いとディスる動画をインスタにアップし、猛非難を浴びた。これで米国は世界に恥をさらした格好。そんな騒動をイジりたいのか、さっそく米3大ネットワーク局の一つ、ABC系列の国民的テレビ番組「ライブ・ウィズ・ケリー・アンド・ライアン」がグレイさんの出演を決めた。

 女優や司会で活躍するケリー・リパ(48)と、テレビやラジオのパーソナリティーで有名なライアン・シークレスト(44)によるトーク番組で、タイトルや出演者が入れ替わりつつも、1983年から続くモーニングショー。一般客をスタジオに入れ、毎回ゲストを招く生放送だから、米版「笑っていいとも!」と言えよう。

 ちなみにグレイさんは父親がオーストラリア人で、米バークリー音楽大で学び、英語は堪能。アジアをバカにした米国で、どう対抗するか見ものだ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)