「第31回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が28日、都内のホテルで行われた。「娼年」「不能犯」で主演男優賞に輝いた松坂桃李(30)は「まさか自分が、何のドッキリかと思っていた。でも、この仕事を始めて10年、今年で30になる節目の年に受賞できてとても幸せ」と満面の笑みを浮かべた。

 続けて「以前、石原裕次郎新人賞をいただいた時に、やはり受賞者だった樹木希林さんが『若いうちに賞なんか取るものじゃない』とスピーチされていて、これから授賞式なのに、と背筋がピンとしたことを思い出した。賞金100万円をいただき、希林さんが席に戻って『どれくらい? 良かったわねえ、あなた』とうれしそうな表情を浮かべたのが印象に残っている」と、樹木さんの思い出を語った。

 さらに「役者としてこれからのことを考えると、20代のうちにいろいろやっておく必要があるとマネジャーと相談してやってきた。娼年はああでもない、こうでもないとヒーヒー言いながらやった。僕の力はたいしたものではなく、三浦大輔監督(43)や白石和彌監督(44)など、いろんな方の力のおかげで育てられたと思っている。僕自身の賞というより、『松坂もっと頑張れよ』という激励の意味だと受け止めて、これからももっといろいろな作品に携われるように頑張りたい」と述べた。

 松坂に表彰盾を渡した前年受賞者の菅田将暉(25)は、同じ事務所の後輩。菅田は「昨年、『おめでとう、菅田』と祝ってくれたが、その笑顔が不気味で怖かった。後で事務所の人に話を聞いたら『来年、作品がいろいろあるから気合が入っている』という話だった。翌年にこうやって、ここにいるというのがすごいなあと思う」と、狙った上で見事に受賞した松坂をたたえた。

 また、三浦監督は「映画化した娼年は舞台が始まって2年たつ。この間、2人で共犯関係というか、この作品の責任を一緒に取ろうという思いでやってきた。大変な現場だった。この賞で全キャストの苦労が報われたという気がする。R―18作品で濡れ場が多いが、松坂君の本気と覚悟の演技を評価してくださって、僕も感謝している」と述べた。