「第31回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が28日、都内のホテルで行われた。

「石原裕次郎賞」は「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督(34)が受賞。たった2館の上映から始まった製作費300万円のインディーズ映画が、映画界に旋風を巻き起こし、賞金300万円を手にした。

 上田監督は「今年の6月に公開が始まったが、実は最初は劇場公開の予定さえなかった。映画ができて良かったねと、お披露目のイベント上映をして終わる予定だった。今でも、パッと目が覚めて夢だったと言われるのではないかと思ってしまう。賞金はプロデューサーと話し合い、キャストの皆と山分けして、余った分は今夜の忘年会にあてる」と、前年受賞者の北野武監督(71)に盾を授与されて夢見心地の様子。

 だが、ここから“悪夢”が始まる。北野監督は「運がいいですね。俺が初めて撮った時には審査員にボロクソに言われた。結果的にどうにか映画を撮れるようになったからよかったけど。物を作った時に周りの意見に流されて曲げないで、素直に貫いてほしい。映画を見たけど、うらやましかった。まるで蛭子能収(71)の漫画みたいに、役者も何も全部へただけど、へたうま」と毒ガスを噴射する。

「これがね、金を持っちゃって、5億円の予算で映画を作ろうとすると、こんなになっちゃったのかという感じになる。崔洋一(69)がよく言われていた。観客も分かってるからね」と、全く関係のない崔監督をディスる始末で、会場は大爆笑に包まれた。

 だが、さすがに世界のキタノ。「ミスをしているんだけど、それもまたいい。これがこなれてくるとミスができなくなる。無意識にこなれてしまうのがアーティストの悩みどころ。意識してしまえば、わざとらしくなっちゃうから。これからも映画人としての情熱を持ってぶち当たれば自然と解消する」と優しくフォローすることも忘れなかった。