最速100勝!藤井七段の「常識破り」どこまで続く「最強速」伝説

2018年12月13日 16時30分

 大記録達成でオンエア前に結果を公開せざるを得なかった! 藤井聡太七段(16)がファンの意表を突く形で快挙を成し遂げた。12日、藤井七段は東京・渋谷区の将棋会館で行われた銀河戦で、阿部健治郎七段(29)を破り、史上最年少での通算100勝を達成したのだ。日本将棋連盟によると、16歳4か月での100勝達成は、羽生善治竜王(48)が1988年に達成した17歳6か月を、さらにデビュー後2年2か月11日での達成は、同じく羽生竜王の2年3か月29日の記録をそれぞれ更新した。だが、大記録のおかげで、主催者側の思惑が大きく狂ってしまった――。

 大記録の更新のかかった大一番でも、藤井七段は冷静だった。

「意識するとダメなので、普段通りの将棋を心掛けた」と運命の一局を振り返った藤井七段。

 とはいえ、このニュースに不意を突かれた将棋ファンも多いはずだ。

 銀河戦は専門ケーブルテレビ「囲碁・将棋チャンネル」が主催した早指し戦。対局は基本的に収録で、NHK杯などと同様に、通常は放映前は対局結果は公開しない(ネット中継もない)。それはオンエアの前に勝ち負けの情報が漏れてしまっては、視聴者の興味を半減させる恐れがあるためだ。このスタイルはある意味、テレビ界の常識でもある。

 それをひっくり返してしまうほど藤井七段のこの一番は、大きな意味を持つことになった。

 だが、もともとは「シークレット」扱いの対局だっただけに、将棋関係者以外でこの日、藤井七段の対局があることを知っていた人はほとんどいなかったのが実情。

 それが空前絶後の大記録達成で、来年3月5日の放送日を待たずに、異例中の異例という対局結果の公開となったわけだ。

 それにしても、ここまでの記録を振り返ってみると、改めてそのすさまじさが分かる。

 通算勝率は実に8割4分7厘(100勝18敗)。この数字は、1968年に中原誠十六世名人が100勝を達成した時の8割2分6厘(100勝21敗)を上回る。さらにデビュー29連勝、連敗が2回のみ(テレビ放送戦は実際の対局日で扱う。3連敗以上は0)、史上最年少15歳6か月での全棋士参加の棋戦優勝(朝日杯)などなど、記録的快挙は枚挙にいとまがない。

 もちろん、今後の大目標は屋敷伸之九段の持つ、18歳6か月のタイトル獲得最年少記録の更新だ。来年4月から始まる竜王戦4組ランキング戦、棋聖戦2次予選、王座戦本戦、さらに棋王戦予選が控えている。

 このうち最も近いのが6月~7月に五番勝負が行われる棋聖戦。藤井七段は7月生まれ(19日)なので17歳になるかならないかでの初タイトル獲得の可能性もある。

 長期スパンでは羽生超えが目標となる。くしくも現在、羽生竜王は前人未到の「タイトル通算100期」を目指して、広瀬章人八段と竜王戦の激戦を繰り広げている最中だ(七番勝負第5局を終えて羽生竜王の3勝2敗)。それだけに「羽生先生には、畏敬の念を抱いております。タイトル100期まであと一歩というのは、途方もないこと」と素直に驚嘆した。

 藤井七段が羽生超えの第一歩を踏み出す時は近い。