自宅の庭に「ディーゼル機関車」が!

2018年12月13日 11時00分

自宅の庭に機関車を設置した土橋洋一さん

 自宅の庭に現役を引退したディーゼル動車(機関車)を展示している男性がいる。埼玉県蕨市の“歩鉄の達人”こと土橋洋一さん(54)だ。展示されているのは、オレンジ色(旧国鉄色朱色4号)の協三工業製10トンディーゼル動車。エンジンをかけると閑静な住宅地にけたたましい音が響き渡る。その魅力を聞いた。

“歩鉄”とは、鉄道を利用して、ハイキングに参加したり、廃線や廃道を歩くことだ。土橋さんは、長男と2人で廃線跡などの鉄道遺構を探訪するうちに、鉄道の世界にハマってしまった。

「息子が機関車を売っていることを教えてくれたんです。メールで問い合わせたところ『見に来てください』と言っていただいたので、見に行きました。それで買ってしまいました」

 鉄道趣味にハマったのは10年前。それまでは、サラリーマンとしてバリバリ働く会社人間だったという。

「5年前に前立腺がんになりまして、そこで保険金が入ったんです。保険金は2年間で全部趣味に使ってしまいました。機関車を買うのはそんなに難しくないんです。車両が100万円。移送費用が60万円でした。車と違って車検も保険も税金もかかりません。一家に一台おすすめしています」

 周囲は閑静な住宅地。エンジンをかけると「バリバリバリ」と、けたたましい音が響き渡った。このような場所に本物の機関車があることに驚かされてしまう。

 このディーゼル動車の自重は10トン、最大牽引車数(換算両数)16両、最高時速15キロ。福島県にある協三工業で1976年に製造された。エンジンは8000CCのものが積まれている。現役時代は日本貨物鉄道株式会社JR貨物に在籍して、西日本旅客鉄道(JR西日本)と日本貨物鉄道(JR貨物)のJR青海駅(新潟県)で、ロータリーラッセル車として除雪作業をするために使われていた。軌道の幅はJR在来線で使われている1067ミリだ。

 信号機や遮断機を設置し、砕石も敷き詰めた。信号機は旧国鉄で使われていたものをヤフオクで購入。信号機は機関車が定位置から移動すると赤から黄色に変わり、踏切の警報器は点滅して警報音が鳴る。遮断機が完全に下りると、信号機は青に変わるようになっている。回路は試行錯誤しながら自作した。取材当日は境界杭に文字(刻印)を彫る作業が行われた。

「本当に作業をしている時が一番楽しい。今日は境界杭に文字を彫るために、友人も来てくれました。レンガ愛好家の方、鋳物会社勤務の方、街中探検家の方。趣味の世界にハマってから、いつの間にか友人が増えました。このような趣味を始めて10年。人生変わりましたね。すごく楽しいです」

 土橋さんは鉄道趣味の他にもさまざまなものを追いかけている。日本全国1741市町村すべてのマンホールの写真撮影を達成。また、鉄道の廃線探索は650か所以上。近年はレンガ構造物の調査もしている。離島100選という離島めぐりも進行中だ。

 ディーゼル機関車の前面に取り付けられている「歩鉄の達人」というヘッドマークはマンホールのフタだ。鋳物会社に特注して作った。大人の趣味は線路のようにどこまでも続く。