元SMAPで俳優の稲垣吾郎(44)が、今年度の映画祭の台風の目になりそうだ。主演映画「半世界」(来年2月公開)が、開催中の東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことで、何らかの賞を受賞するのではないかと取りざたされているのだ。予想通り賞を獲得すれば今後、数ある他の映画賞への影響は、計り知れない。

 今作品は、稲垣が演じる山中の炭焼き職人と2人の男たちの友情と葛藤を描くヒューマンドラマだ。これまで知的でクールな役柄が多かったが、今回はガラリと変わって“山の男”に。チェーンソーで木を伐採したり、頭にタオルを巻いてミカンを食べたりとイメージとは真逆だ。

 先月30日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた記者会見に出席した稲垣は「今までに見たことがなかった自分がいたんです。そんな作品に巡り合えて幸せですね」と充実感をにじませた。

「半世界」とは、戦前の日本を代表する写真家・小石清氏の写真集のタイトルを阪本順治監督がヒントにした作品。写真集には、路地や軒先のおじいちゃんやおばあちゃんや動物など市井の人々が収められており、今回の映画のアイデアになったという。

「名もなき人々の営みを描きたかった」と阪本監督。同作品は現在六本木周辺で開催中(3日まで)の東京国際映画祭コンペティション部門の16作品の一つに選出されている。

「今年、コンペ部門には109の国と地域から1829本もの応募がありました。16作品のうち邦画は2作品だけ。中でも審査委員長で映画監督のブリランテ・メンドーサ氏は『半世界』を気に入っているという話です。ブリランテ氏も現実社会に生きる庶民を描いてきましたからね。映画祭は審査委員長の影響が非常に大きいので、ひょっとするとひょっとするかも」(映画関係者)

 グランプリか他の賞を受賞する可能性は大いにあるという。

 本紙既報通り、SMAP時代は事務所が賞レースに積極的でなかったため、映画賞には縁遠かった稲垣だが、今回、受賞するようなことがあれば、これから始まる様々な日本の映画賞に与える影響は多大になる。

 配給会社関係者は「日本アカデミー賞をはじめ、キネマ旬報、ブルーリボンなど日本の映画賞も無視はできなくなるでしょう。東京国際映画祭で受賞しているのに、国内の賞にまったく引っかからないというのはおかしいですからね」。

「半世界」が受賞すれば稲垣の存在感が一気に大きくなることは間違いない。コンペティション部門のグランプリは2日、アウォード・セレモニーで発表されるが、果たして結果はいかに。