元大阪市長の橋下徹氏(49)が29日、フジテレビ系「とくダネ!」に中継出演し、シリアの過激派組織から解放されたジャーナリスト・安田純平さん(44)について語った。

 橋下氏は解放を喜ぶ一方で「ジャーナリストの皆さんの多くはちょっと英雄視しているところが非常に危険であると思う。危険地域の行動の意義をかえって弱めてしまう」との見方を示した。

 安田さん自身が日本政府を批判した上でシリアに入国したことから自己責任論が過熱している。ツイッターで「チキン国家」と口汚くののしったこともあった。ただ、橋下氏は「どれだけ批判を受けようが無条件で保護する」と民主国家として解放に努力することは当然の行動と説明。危険地帯での取材にも「戦争、紛争(については)政府が一番ウソの情報を流す。真実を暴いていくことがジャーナリストの使命」と一定の理解を示した。

 ただ、同時に橋下氏は取材にあたって安田さんの準備不足を指摘。プロのジャーナリストとして警護を付けたり、単独ではなく集団で行動したりすることが必要だったという。

 今回の事件では結果的に過激派組織に多額の身代金が支払われたとされる。

 橋下氏は英雄視できない理由はここにあるとし「カタールのほうから身代金を払ったという情報も出ています。安田さんはシリアの子供たちを何とか助けなきゃいけない、弱者を助けなきゃいけないと言っておきながら、今回の安田さんの行動によってテロリストにお金が渡る。ないしは何らかの有利な条件が渡されることによって、さらに弱者の命が奪われることがある。フリージャーナリストの皆さんは正義とかそういうことを振りかざすのはいいけれども、テロリストを利することは絶対あってはならないという意識を持って装備なり、体制なりを組まなきゃいけない。その部分は安田さんは素直に謝らなければいけないと思う」と力を込めた。