俳優の長塚京三(73)が9日、東京・港区のスパイラルエスプラナードで行われた「そうだ 京都、行こう。」25周年記念ポスター展オープニングイベント(JR東海主催)に出席した。

 1993年秋に清水寺を取り上げたCMで始まった同キャンペーンは、今年で25周年を迎えた。これを機に内容を一新。外国人客の増加などで観光のあり方が変化する中、来春からはSNSなどを活用し、時代に対応してバージョンアップする。

 一貫してナレーションを担当した長塚は、一休宗純のついのすみかとなった「酬恩庵 一休寺」を取り上げた2018年秋キャンペーン「盛秋編」(13日から放映)が最後の作品となる。

 四半世紀を駆け抜けた長塚は「年は巡って25回。十分懐かしい。ご愛顧くださった視聴者の方にも、懐かしさは共通なのかもしれない。いい仕事に携わることができて大変幸せ。最初の作品もよく覚えている。俳優としてのキャリアが予想以上に順調に滑り出しそうな矢先だった。あ、若かったなあと思う」と振り返った。

 そして「役作りはなく、ただ読むだけ。好きにやらせてもらったが、一方でスタジオの厚いガラスを通し、皆の表情を見ながら『これはそうじゃないんだろうな』と空気を読むことを覚えた。僕の名前は出てないので、知人から『お前がやってるの?』としばしば尋ねられた。よく『なかなかいいよ』とも言われたが、下手な芝居より、よほどいいという意味じゃないか。それにしても、声は変わらないと言われるが、昔の作品を見ると塩辛くなったなと思う」と冗談を連発して笑わせた。

 京都好きの長塚は、CMで取り上げた寺や名所はほぼ訪れる。「お忍びというか、人も多いので訪れて、さっと見る感じだが、とても美しくて写真も撮る」という。こうした経験が加わってこそ、長塚のナレーションは円熟味を増し、国民的CMに成長したのだろう。

 長塚の最後の現場を収録したメーキング映像はユーチューブで9日から公開。また、、都内3か所(スパイラルエスプラナード=9~16日、行幸地下ギャラリー=9日~11月8日、東京サンケイビル=10~26日)でポスター展を実施する。