落語家・桂きん枝(67)が6日、大阪市の上方落語会館で「桂きん枝独演会~Final~」(10月12~14日=天満天神繁昌亭)の開催発表会見を行った。

 来春「四代桂小文枝」を襲名するきん枝にとって、今の名前での最後の落語会。1日2席ずつ、3日間の公演となるが、ネタについては「新しいネタを入れるか、今までやってきたものをやるのか。1か月前ですが、まだ悩んでいて、尻に火がついてる最中です」と当日のお楽しみとした。

 来年は落語家生活50周年を迎える。不祥事で師匠の五代桂文枝から破門されたり、参院選に打って出たりなど、世間に話題を振りまく人生を送ってきたことに「深い谷、浅い谷。人生谷だらけ」と苦笑したが、「一人前か半人前か分かりませんが、私みたいな人間を育てていただいた。師匠じゃなかったら、途中で辞めてたかもしれませんし、よその一門じゃクビになってたかもしれない。懐の深い優しい方で、感謝しかない」と感謝の言葉を口にした。

 落語家人生で、ネタに対する考え方も変化してきたという。桂ざこばから「きん枝君、落語は失敗してもええ。プロの噺家の失敗を見れるなんて客も幸せや。金を取ってそれを見せたるねん」と言われ、考え方が変わったというエピソードを披露。続けて「若い時は、師匠の言われたことを一字一句覚えていかなあかんと思ってましたけど、落語というのは日々の生活の一部やと思っているので、今は細かいことを決めずにやってます。何かあればごまかす、その場を切り抜ける。四十数年やってきて逃げ方はうまいいです」と胸を張った。
 今後については「70過ぎとかになって、舞台の上で(古今亭)志ん生師匠みたいに寝てみたい。そんな味が出せたらいいな」と笑った。