俳優・舘ひろし(68)が6月に公開された主演映画「終わった人」で、第42回モントリオール世界映画祭で最優秀男優賞を受賞。4日、同映画を配給した東京・銀座の東映本社で記者会見に臨み「デビューがこの東映だったんですけど、また東映の作品で賞を頂けて、意味があるのかなという気がします」と喜びを語った。

 もっとも、自身の演技力について「私が一番信じていないのが、自分の芝居」だそうで「最優秀男優賞なんてものを頂けるなんて、思ってもいなかった」と殊勝に話した。

 日本人俳優が同賞を受賞するのは1999年の「鉄道員」の故高倉健さん以来。これについて聞かれると「ダメなんだって」と苦笑い。「全く自信がなくて…。高倉さんはずっと大スターでいらっしゃるんで、私なんかと一緒にされては」と言いながら「でも同じ賞を頂けて光栄です」とも話した。

 受賞については、4日の午前に聞いたというが「まだ誰にも伝えてない」とか。ただ、普段から慕っている石原プロの先輩・渡哲也から連絡をもらったという。「渡にはいつも『それ以上、芝居がうまくなるな』って言われていたものですから、最優秀男優賞をもらって怒られるのかなと思った(笑い)。でも『おめでとう』と言われて、うれしかったです」

 ちなみに「芝居がうまくなるな」という言葉については「いつも渡には『小芝居をするな』と言われる。言い換えれば『人生丸ごと演じてしまえ』ということ。うまい芝居をする人はいっぱいいるんで、そういう人たちにはかなわないので、自分の存在で芝居をしていけという意味だと思う」と説明した。

「終わった人」の公開はすでに終了しているが、舘の受賞を受けて東映は8日から14日まで、東京・丸の内TOEIで凱旋上映を行うことを決定。その後の上映も検討しているという。