女芸人の椿鬼奴(46)が30日、東京・港区の赤坂レッドシアターで、初主演舞台「〜アカペラ歌劇〜ロックの女」(作・演出=福田転球、31日〜9月9日)の公開稽古を行った。

 女優・鈴木砂羽(45)が立ち上げた演劇ユニット「港.ロッ区.」の旗揚げ公演で、鈴木はプロデューサーを務める。

 きっかけは2年前。鈴木は「一緒の仕事が終わった後に飲んで、構想があったので『舞台に出てよ』と言った。そこでなんとなくボールを投げておいた。いろんな都合はあるだろうが、ラブコールは送っておいた。ロックな女といったら鬼奴しかいないから」と振り返る。

 2人は同い年で気の合う飲み仲間でもある。椿は「まだセリフが怪しい。毎回、口が勝手に動いて変わってしまう。声が調子悪くて、お聞き苦しいかも。きのうまで飲んでいたので、今日から控えようかな。本当に砂羽さん強いから。私はこの間、ロケで7軒はしごして記憶がない」と、いつものガラガラ声で苦笑い。

「芸人は単発の仕事だけど、舞台は1か月かけて、皆でやるので、ちゃんとしないといけないという責任感がめばえた。来月にソロアルバムのCDが出るのでプロモーションや、24時間テレビでオタ芸を披露しないといけなかったので、稽古中は皆と飲む時間がなかったのが残念。本番が始まったら飲めるかな」と、舌の根も乾かないうちに禁酒の前言をひるがえした。

 多忙な鬼奴の心の支えとなったのは、夏の甲子園で準優勝の快挙を成し遂げた金足農(秋田)の快進撃だ。秋田県勢の決勝進出は実に103年ぶり。夫でお笑いトリオ「グランジ」佐藤大(38)の出身校とあって、大会で881球を投げた吉田輝星投手(17)の活躍を夫婦で見守り、刺激を受けた。

 滞在費が底をつき、寄付を募った結果、折からのフィーバーでなんと2億円超の資金が集まったことが報じられたばかりだが、佐藤と鬼奴もSNSなどで寄付を呼びかけていた。

 本紙が鬼奴に寄付の件について尋ねると「金農ね、うん。エヘヘ、夫婦で(寄付を)した。気持ちというか、額はちょっと。そこはおしゃれに言わないでおく。応援しているので、役立ててもらえれば」と控えめに寄付を認めた。表情からすると、かなりの額を投じたようだ。

 応援で夫婦の絆はますます深まった。満身創痍で関節痛を抱えた鬼奴を、佐藤が優しくマッサージでバックアップしたという。鬼奴は「初主演なので温かい目で見ていただきたい 歌も歌うので、いよいよ歌手だなというところを見てもらいたい」と、舞台での活躍を誓った。