落語家・桂文枝(75)の弟子の夏川立也氏(53)が27日、大阪市内で自身初となる小説「笑いの科学株式会社」の出版会見を行った。

 京都大学工学部卒の夏川氏は、文枝がかつて「落語の枠にとどまらず、笑いが好きな者は集まれ」と主宰した「維新塾」に1期生として入門。元祖京大生漫才コンビ「ザ・ブラザーズ」を結成し、朝日放送「ナイトinナイト」にレギュラー出演するなど活躍した。

 現在はコミュニケーションプロデューサーとして、年間200社にも及ぶ講演、研修活動に精を出す。芸能活動で培った笑いのロジックを、ビジネスに落とし込んだ講演は評判を呼んでいる。

 そんな夏川氏のノウハウを分かりやすく解説した小説は、何をやってもうまくいかない30歳の広告代理店勤務の営業マンが、町の居酒屋での出会いをきっかけに、若手経営者として成功するというストーリー。

「ビジネス書は10冊近く書いてますが、小説は初めて。ビジネス書では入りきらない機微を、小説という形で表現できたかと思います」と笑みを浮かべる夏川氏。続けて「師匠に習った笑いの働きかけを日常生活に生かすだけで全然違う。今を変えれば、過去も変えることができるということを、若いこれからの人がプラスに受け取ってもらえれば」と語った。

 出版にあたり、文枝に巻末の解説文の執筆を依頼したところ快諾してもらったという。文枝については「自分にもすごく厳しい方で、話芸をやる中で多くのアイデアを頂いた。『いらんことせずに忙しせぇ』と話していたのが印象に残ってます」と、芸能活動の際に多くのアイデアを盗んだことを告白。「『維新塾』をやっていて良かったと思ってもらえたら、うれしいですね」と恩返しを誓った。

 一方、京大出身の芸人といえば、お笑いコンビ「ロザン」宇治原史規(42)が有名だが、夏川氏は「クイズばっかりで、もっとネタやってほしいですけど(笑い)。でも、僕は相方を守れなかったけど、彼は守ると言っている。頑張ってほしいですね」と後輩にエールを送った。