米航空宇宙局(NASA)が22日までに、月の南極と北極に氷があるのを観測したと発表し、月面への関心が改めて高まっている。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2030年までの有人月面探査を目指し、民間の宇宙ベンチャーでは20年末ごろに月面に軟着陸して探査を行う計画も昨年に発表された。いまも人間の想像力をかきたてる月については、さまざまな陰謀説も語られている。

 月の表面についてはこれまでも、水が氷の状態で存在する可能性が指摘されていたが、直接確認できたのは初めて。NASAや米ハワイ大などのチームは今回、インドが08年に打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号」で観測した月表面のデータを分析した。

 こうした研究は、米国が再び目指す有人月面着陸への関心もかきたてるものとなる。有人月面着陸は1969年にアポロ11号の宇宙飛行士が月面を踏んだのが最初で、最後は72年のアポロ17号。それ以来、人類は月に降り立っていない。

 JAXAもインドと共同で月の極域に無人探査機を送る計画が明らかになっていた。そして先日、日本初の有人月面着陸機を開発し、30年ごろの着陸を目指すというJAXAの構想が一部で報じられた。この有人着陸機構想について、UFO研究家の竹本良氏は感動を込めてこう語る。

「NASAのカール・セーガン博士から月面着陸機のマニピュレーター(装置)の作製を、早稲田大学のロボット博士こと故加藤一郎教授が頼まれたのが40年ほど前。宇宙開発事業団(JAXAの前身)に気を使い、断ったという。H1ロケットの正確さ、かぐや、はやぶさの成功もあり、実力が認められたJAXAが今度は有人月面着陸機を造ります」

 月にはさまざまな陰謀説がある。70年、旧ソ連のアレクサンドル・シチェルバコフ博士とミハイル・ヴァシン博士が「月はエイリアンが造った巨大宇宙船だ」とする説を発表した。

 ほかにも、月の表面にある宇宙船に似た岩石の画像を“証拠”として、月には古代の宇宙船が乗り捨てられているとの説も。ビルのように見える岩をアルザル人の基地とする説。地球から見えている部分には何もないが、月の裏側にはエイリアンの基地があり、米国が隠蔽しているという説などもある。72年以降、人類が月に行っていないのは、エイリアンの存在を隠さなければならないからだという陰謀論は根強い。

 竹本氏は「陰謀説は、アポロは月には行っていない説から、100種以上の先住宇宙人がいる説までさまざまだが、宇宙生命体の問題に直面せざるを得なくなったのも事実だろう。エリア51に入る者は通過儀礼として宇宙人の死体と円盤の残骸を見せられるといわれるが、今回は宇宙人の問題が、JAXAの通過儀礼とならざるを得ないだろう」と指摘した。