芸人拉致・TBSの危ない演出体質 「水曜日のダウンタウン」で犯罪まがいロケ

2018年06月23日 11時00分

連れ去られたナダル

 

“勘違いスタッフ”の暴走――。TBS系バラエティー番組「水曜日のダウンタウン」で先月下旬、都内の路上で“芸人連れ去り企画”のロケを行ったところ、目撃者から110番通報が相次ぎ捜査に乗り出した警視庁が、同局を厳重注意していたことが21日わかった。お笑いコンビ「コロコロチキチキペッパーズ」のナダル(33)がいきなり拉致・監禁される内容だったが、同様の事件が頻発するなか、この演出は完全にアウト。同番組では過去にも過激企画に批判が殺到していた。それでも懲りないTBSの体質とは――。

 問題のロケは5月22日に東京・渋谷区のJR恵比寿駅周辺で行われた。番組スタッフ数人が路上でいきなりナダルを車に押し込み“拉致”したところ、目撃者から「男の人が車で連れ去られた」と110番通報が相次いだ。

 警視庁は誘拐の疑いで捜査に着手。車のナンバーなどからTBSの番組の企画だったことが判明し、翌23日に番組関係者2人を厳重注意した。

 この企画はナダルを皮切りに携帯電話で呼び出された芸人たちが、代わる代わるおりに閉じ込められるというもので、第1弾は5月30日に放送。この時もナダルがJR新横浜駅前で連れ去られ、埠頭にある倉庫に設置されたおりの中に監禁された。

 テレビ関係者によると「第1弾がものすごい反響で『腹を抱えて笑った』や『犯罪ギリギリ』など、賛否両論巻き起こりました。これに味をしめた番組サイドが第2弾にGOを出したわけです」と話す。それが今回のロケだったわけだ。

 同企画は20日に放送予定だったが、騒動を受けて“お蔵入り”となった。ただTBSは、本紙の取材に対し「東スポさんにはお答えしないことになっている」と回答を拒否した。

 報道機関であるはずのテレビ局とは思えない態度で、反省の色は感じられなかった。

 最近、話題になった日大アメフット部の悪質タックル問題で、日大広報部の対応が大きな批判を浴びた。TBSも情報番組などで批判していたが、自分たちも日大と大差ない対応を取ったと言われても仕方ないだろう。

 テレビ関係者は「先週13日の放送では大々的に告知されていた。警察の厳重注意は先月23日で、マズイと思ったらその時点で放送中止を決め、予告VTRは流さないはず。今月に入りSNS上で騒動が広まり、一部メディアが取材に動いたことで慌てて差し替えたのだろう」と語る。

 同番組のトラブルはこれが初めてではない。16年2月に放送された水戸黄門にまつわる「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」では、反発した水戸市が放送倫理・番組向上機構(BPO)に意見書を出し、武田信二社長が同市に謝罪した。

 同年5月放送の“クロちゃん救出企画”では警察ざたに。部屋に閉じ込められた「安田大サーカス」クロちゃん(41)の居場所をネットユーザーが探し出すという内容だったが、デマが相次ぎ一般の住民に迷惑が生じたため、企画は中止された。

 今年2月28日放送の「『ベッドの中に人がいる』が結局一番怖い説」も物議を醸した。「尼神インター」誠子(29)の自宅ベッドに知らない人を潜り込ませ、リアクションを楽しむはずが、あまりの恐怖に誠子は腰を抜かしてしまったのだ。

「彼女は今でも『あれはヤバい。トラウマになってる』とこぼしています。視聴者からも『これは引いた』『シャレにならない』と批判が殺到した」と前出テレビ関係者。

 ネット上では同番組の“攻めの姿勢”を称賛する声も多いが、犯罪まがいの演出はいただけない。テレビ界では静岡県の看護師拉致殺害事件の影響などから「拉致」「誘拐」を連想させる内容はご法度。18日にはテレビ朝日が誘拐を題材にしたドラマ「幸色のワンルーム」の放送中止を発表したばかりだ。実際の事件をモデルにしたのではないかとネット上で議論になっていた。朝日放送は関西地区で7月から放送する予定。

「業界では世間の自粛ムードや口うるさいBPOに対して、アンチな姿勢を取るスタッフがいます。『水曜日――』はそれが顕著。悪いことではありませんが、今回の騒動を検証しなければ、同じようなことがまた起きるでしょう」(同)

“攻めすぎ”と“やりすぎ”をTBSははき違えているようだ。