12日に開催される米朝首脳会談を控え、シンガポールは緊迫した雰囲気に包まれている。韓国のテレビ局記者が拘束されただけでなく、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のソックリさんで有名なコメディアンが、チャンギ国際空港で当局に拘束される騒動も起きた。

“ニセ正恩氏”で話題のハワードX氏は、オーストラリア国籍のコメディアン。2月の平昌五輪の開会式やアイスホッケー会場に出現。南北合同チームを応援する北朝鮮の美女軍団とコラボし、一躍、時の人となった。そんなX氏が歴史的会談となる今回のシンガポールの地を訪れないハズがない。

 先月末、ひと足早くシンガポール入りし、有名ホテル「マリーナベイ・サンズ」などを背景に、正恩氏のコスプレで撮影した写真をSNSに投稿。ネット上で話題となっていた。

 X氏は香港在住で、8日に再びシンガポールの地を踏もうとしたところ、入国管理局に身柄を拘束された。現地の報道では、X氏は当局から約30分間、政治的見解や他国での抗議行動への関与の有無を聴取されたという。所有していたカバンも調べられたX氏はフェイスブックで「シンガポールは今とても敏感な時期にあり、セントーサ島やシャングリラ・ホテルには近寄らないように審査官に言われた」と明かした。

 厳しい取り調べを受けたが結局、同氏は入国を許可された。「当局が私を追放した場合、この日の新聞の見出しは『金正恩がシンガポールから追放された』となり、当局がそうなることを望んではいないだろう」とジョーク交じりにコメント。

 最後には「歴史的瞬間のための、お楽しみの準備は整った」とつづっている。世界平和を祈り、コメディアンとして活動している同氏の思いが当局へ届いたということか?