是枝監督 海外メディアの切り口に驚き「配給会社の判断が日本映画の幅を狭くしてきた」

2018年06月06日 22時30分

特派員の質問に答える是枝監督

 カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した映画「万引き家族」(8日公開)の是枝裕和監督(56)が6日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で行われた記者会見に出席した。

 日本人がパルムドールを獲得したのは、1997年の今村昌平監督の「うなぎ」以来、21年ぶり5回目。是枝監督は7回目の挑戦で初受賞となった。この日の会見にも多くの外国人記者が集まるなど、注目度の高さをうかがわせた。

 映画は“家族を超えた絆”を描いたもの。万引きなどの軽犯罪で生活する家族を軸にして「絆」とは何かを問いかける。

 海外のメディアは同映画に対して「日本が抱える貧困問題」という社会的テーマからの取材が多いという。

 これに関し、是枝監督は「あまり政治的、社会的問題意識を喚起する作品としては作ってなかったので、そうなるのは驚きでした」と答える。

 一方で「これまで日本の映画作品で、そういう社会的テーマを下敷きにしたものが少なかったのは、映画配給会社がそういう判断をしてこなかったからだと思います。(興行的に)『ちょっと(テーマ)重い』と。それが日本映画の幅を狭くしてきたというのはあったと思います」と率直に語った。

 この映画を「誰に向けて作った」という問いもあった。

 是枝監督は「テレビマン時代から先輩に『不特定多数に発信するものほど、一人の人に向けて作れ』と言われてきた。それは母とかそういう人でもいい。この質問でハッキリしました。僕は取材で訪れた施設で暮らす、『スイミー』の物語を読んでくれた子供に対してです。拍手をした時に笑った、あの顔が忘れられなくて」と明かした。