シンガー・ソングライターの広瀬香美(52)が所属事務所「オフィスサーティー」からの独立を宣言した問題で、同事務所の代表取締役・平野ヨーイチ氏が1日、都内で会見した。

 先月28日に広瀬がフェイスブックで独立を宣言したことに対し、31日に事務所が一方的な独立と反論し、芸名の使用禁止を発表。広瀬はツイッターで「広瀬香美として」活動を続けていくと報告していた。

 この日の会見で平野氏は「今年2月28日に彼女からオフィスサーティーと広瀬香美音楽学校の代表を代わってほしいという要請があった」という。広瀬の主張は近年、ヒット曲もなく、コンサートも満員にならず、「このままではアーティストの自分が終わる」と危惧し、その責任が事務所にあるというものだ。

「私が采配を振るえば返り咲ける」という申し入れだったが、平野氏は「1年間やってみて、業績が上向いていった段階で変わるのはどうか」と譲歩案を提示した。

 だが、広瀬は「代表の実印」「会社登記の変更」など、「気持ちの問題」として必要とし、実質的な要求を崩さず、物別れに終わる。それ以後は弁護士同士のやりとりが4回続いたものの、5月21日に契約解除通知が届き、広瀬の独立宣言につながったという。

 平野氏はこの独立宣言に芸名使用禁止という形で抵抗している。この芸名は平野氏が命名したもので、ちょうどデビューのときに「加瀬大周」の芸名を巡る騒動が起きていたため、「芸名使用権は平野が持っている」という覚書があるという。ただ、平野氏は「権利があると叫んでいるのではなく、ちゃんと話し合いをしましょうよという意思表示です」と明かした。

 29年間、広瀬を支えてきた平野氏にとっては「後ろから殴りつけられたような思い」という。近年、ヒット曲もなく、歌手として焦る中で、「誰かが後ろで提案をしているのか。彼女がそれを聞いて迷っているのか」と推察した。

「代表の座にしがみつくつもりはない」という平野氏だが、広瀬の申し出をそのまま受けられない理由もある。「免許の更新の仕方も分からないし、病院で薬も受け取れないほどの世間知らず」ということだ。さらには「これまでわがまま放題でマネジャーを何人もクビにしている」ということで「会社で雇っている社員もいる。その責任もある」と広瀬の経営手腕には疑問を感じているようだ。

 今後、弁護士同士の話し合いが続けられる予定だが平野氏は「また一緒にやろうよと言われれば、拒む理由はない」という希望も持っている。