「第71回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞した映画「万引き家族」(6月8日公開)の是枝裕和監督(55)が23日、羽田空港に帰国し、会見を行った。

 是枝監督はフランス・カンヌでの受賞式から仕事でニューヨークに飛び、長旅を経て帰国した。日本映画がパルムドールを受賞したのは1997年、今村昌平監督の「うなぎ」以来21年ぶり5回目。是枝監督は7回目の挑戦で初受賞した。

 パルムドールのトロフィーを手に登場した是枝監督は「ようやくここに帰ってきて、スタッフのにこやかな顔を見ましたら、実感が湧いてきました。今度は宣伝活動をやっていかなくてはいけないので、あまり緩んでいる笑顔を見せずに、公開に向けて頑張っていきたいと思います」とあいさつ。実感について問われると「実感は…ちょっとずつですね。これからだと思います」と明かした。

 帰国して、仕事以外にやりたいことを聞かれると「今、シャワーを浴びてひと息ついて、ラインとメールが山のようにたまってしまって、まだ返事ができていないですし、お礼の返事をしていきたいと思います」と答えた。

 テレビディレクター出身とあって、授賞式について「(受賞は)とてもうれしいのですが、基本的に観察してしまう。テレビディレクターの性(さが)というか。拍手を受けて立っていると『なんだこいつ、まだ拍手が欲しいのか』と思っている人がいないかと観察してしまいます。あまり楽しめないところもあるんですね」と苦笑い。

 公開館数は当初の200館程度から300館以上に拡大。さらに先行上映も予定されている。今年の日本映画界は“是枝フィーバー”が巻き起こりそうだ。