【日本ダービー(日曜=27日、東京芝2400メートル)関西芸能界の重鎮・円広志の夢想馬券】刻一刻と迫ってくる第85回日本ダービー。本紙では連日、馬券的中に向けた必勝大特集を組んでいるが、ここではイロモノ馬券予想家(!?)に登場していただこう。大ヒット曲「夢想花」でおなじみの円広志(64)だ。「とんでとんでとんで~♪」って、馬を飛ばしたらアカンでしょ。いやいや、「まわってまわってまわって~♪」お金もうまく回る…かもよ。

「実は僕、2000年くらいにパニック障害になってね。このまま消えたほうがマシ違うかな!?って思ったくらい、症状が悪かった時期があるんですわ。発作が始まったら、まともに立っていられないし、不安と恐怖で押し潰されそうでしたわ」

 当時のことを笑って話す円広志。しかし、かなり病状は深刻で、一時はかなり仕事を控えていたそうだ。

「仕事をほとんどしなかったから、時間だけはたっぷりあるんですよ。それで友達と待ち合わせたりするんやけど、そいつが時間にルーズなやつで全然、時間通りに来ない。そういうイライラがパニック障害には一番良くないんです。それまではギャンブルはやったことなかったんですが、気を紛らわすためにパチンコ屋に入ったんですわ。そうしたら台が光って見えるんですよ!」

 パチンコの電飾がピカピカするのは当たり前だろう…って、そういう話ではない。円広志が光って見えた台は、打てば大当たり連発の開放台。病気を機に、ものすごい才能に目覚めてしまったのだ。

「ホンマにすごかった。もう負けなしって言っていいくらい。これやったらタレント辞めてもパチンコで食べていけるわって本気で考えました。でも玉のぶつかるジャラジャラした音がね、パニック障害にはキツいんですわ。厄介な病気でしょう。僕の食いぶち、全部奪っていきやがる(笑い)。それで静かな場所でも楽しめるんじゃないかと思って、競馬新聞を読売テレビの楽屋で見たんです。それまでは競馬をやったことすらないですよ。それが新聞に手をかざしたら、その中の2頭に熱を感じたんですわ。まさかと思って馬券を買ったら200倍の万馬券。その後も連戦連勝ですわ。ウソと違いますよ!」

 さすがは関西芸能界の重鎮・円広志。ウソだろうと疑う取材者の視線を鋭く感じ取っていた。

「パチンコ、競馬だけの話やないんです。サイパンでやったブラックジャックも、次に来るカードが分かるんですわ。不思議な話やし、医学的な根拠はないらしいんやけど、病院の先生も“パニック障害って感覚が鋭くなることやから、ない話ではない”って。“この才能を生かしながら、病気を治しましょう”と言ってくれてね」

 つらい病気と闘う中で、楽しみを見つけたことは気持ち的にも大きかったようだ。

「でも、あきませんねん。病気が治ったら鈍感になってしまって…。病気は去って、ギャンブルという趣味だけが残りましたわ。当たらんようになったけど、今の方がずっと幸せです」

“馬券が当たらなくて幸せ”とは変な話だが、せっかくダービー前に取材に来たのだから、当たる予想をしてもらわないと…。恐る恐る言ってみた。もう一度、パニック障害になってくれません?

「ふざけるな! まあ、予想だけは一応してみるわ」

 ズラリと並んだ出走馬の写真に、円広志が手をかざすと…。

「んっ、熱を感じるな。なんか光って見える馬がおるぞ。オウケンムーンや。なんやコイツ。写真が“ボク、走ります”としゃべってきよるわ。コラッ、マネジャー。病院に電話すな! これが走ったら病気が再発したってことなんかな…。もし来たら病院行きますわ(笑い)」

 オウケンムーンが走れば病院行き? 何とも応援しにくい話だが…。

 一応、競馬の予想企画なんで、最低限の馬の解説をしておくと、前走の皐月賞では12着に惨敗したとはいえ、未勝利→500万下→共同通信杯って3連勝を決めた結構な実力馬で、先週のオークスで、桜花賞に続く牝馬2冠を達成したアーモンドアイと同じ国枝厩舎の所属馬でもある。なくはないか…。オウケンムーンの走りに、ぜひ注目してほしい。

☆まどか・ひろし=1953年8月21日、高知県生まれ。70年代からロックバンド「ZOOM」として活動、浪速のポール・ロジャースと呼ばれる。「夢想花」で78年の第9回世界歌謡祭グランプリを獲得。80年代には数々のテレビドラマ、映画に出演。森昌子の「越冬つばめ」など、楽曲提供も多い。6月9日にデビュー40周年CD「遥かなる風人」を発売し、記念ライブツアーを行う予定。