是枝監督「パルムドール」の価値

2018年05月22日 11時00分

パルムドールを受賞した是枝監督

 フランスで開催されていた第71回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門出品作「万引き家族」(6月8日公開)が最高賞「パルムドール」に輝いた是枝裕和監督(55)は、ビートたけし本紙客員編集長が審査委員長を務める本社制定の東京スポーツ映画大賞の常連でもある。カンヌでも「東スポ(映画大賞)は、いつもとてもうれしい」と口にした是枝監督について、たけしは早くも「第28回東スポ映画大賞」で表彰することを明言した。

「万引き家族」には、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林らが出演。おばあちゃんの年金を頼りに、子供に万引きさせながら暮らす貧しい一家の日常や秘密を描き、家族のつながりや社会のありようを問い掛ける。

 世界3大映画祭の最高峰とされるカンヌで日本映画がパルムドールを受賞したのは、今村昌平監督の「うなぎ」(1997年)以来21年ぶりで5作目。授賞式後、トロフィーを持ちながら取材に応じた是枝監督は「すごい重いです。ずっとトロフィーを持ち続けているので腕がガチガチなんですけど、これを頂くというのは監督として本当に重い出来事」と語った。

「日本アカデミー賞とどっちが重い?」と問われると、「別の意味で、あれはあれで重いんですけど」。さらに「東スポ映画大賞は?」との質問には「東スポは、いつもとてもうれしいです! いろいろなうれしさありますから」と満面の笑みを浮かべた。

 カンヌの最高賞に輝いた是枝監督は、東スポ映画大賞の常連でもある。監督としての実力をたけしは高く評価。今年3月には「オレの小説『アナログ』の映画化権は是枝監督にあげようかと思って。是枝さん、やってくんないかな」とまで話していた。

 東スポ映画大賞では、作品賞だけでも「ワンダフルライフ」(第9回=2000年)、「誰も知らない」(第14回)、「歩いても 歩いても」(第18回)と3回。「そして父になる」(第23回)では監督賞も受賞した。

 さらに第25回では、是枝監督の「海街diary」に出演した綾瀬はるかが主演女優賞、長澤まさみが助演女優賞、広瀬すずが新人賞に輝いた。授賞式では、「龍三と七人の子分たち」を撮った北野武監督が「やっぱり是枝さんにあげる!」と突然、監督賞を譲った。多くの賞に輝いた功績をたたえ、第20回では「20回特別賞」を受賞した。

 さらに今年はこんなハプニングもあった。「三度目の殺人」で助演女優賞を受賞した斉藤由貴がスケジュールの都合で欠席となり、わざわざ是枝監督が代理で授賞式に足を運んだ。表彰の際には賞状を読むたけしが「あなたは不倫の揚げ句、パンツを頭にかぶり…」と、斉藤が世間を騒がせた不倫騒動をイジりだした。

 司会のガダルカナル・タカが「絶対書いてませんよね?」とツッコんだが、たけしは構わず「パンツをかぶって」と続けた。するとタカがスリッパで是枝監督の頭を叩いたのだ。これを見てようやく我に返ったたけしは「世界的な映画監督になんてことをするんだ!」と逆にタカにツッコんだ。

 こんなことをされながらも「叩かれて光栄です!」と笑顔で答えた上、カンヌでも東スポ映画大賞の話をした是枝監督について、たけしは「パルムドールを受賞したのはいいけど、タイトルが『万引き家族』ってのは笑ったな。勲章を万引きしたらいかんだろって」と毒ガスを噴射。

「是枝さんはこういうような映画ばっか撮ってるから、世界中で爆発的なヒットをするわけねーけどさ。映画文化としては、今村さんみたいに地味にこういう人がいないとまずいんだよね。今村さんなんて『楢山節考』と『うなぎ』で2回もパルムドール取ってるけど、爆発的にヒットしたとか、社会現象になったって印象はないよね。だから『万引き家族』も客が入ればいいけどなー。今はベネチアだろうが、カンヌだろうが、どんな賞を取っても、集客に関係なくなってる。映画はディズニーと中国資本にはかなわない」

 そう語ったたけしは、「もちろん、来年の映画大賞で選ぶよ。是枝さんのこと、嫌いじゃないから」と明言。来年2月の授賞式で、たけしとの再会が注目される。