フランスで開催中の第71回カンヌ国際映画祭で14日、コンペティション部門出品作品「万引き家族」(6月8日公開)の公式会見が行われ、女優・松岡茉優(23)が突然、号泣する一幕があった。

 会見には是枝裕和監督と主演のリリー・フランキー、さらに安藤サクラ、松岡、樹木希林らが出席。松岡が号泣したのは会見の最後で、しかも自分が発言している時ではなく是枝監督が樹木について話している時だった。

 是枝監督は「海水浴のシーンは一番最初に撮ったが、その時に希林さんが、(安藤演じる)信代に向かって『きれいね』と言うのは脚本にはなかった。この言葉が、信代からどうやって美しさというものを引き出すかという、この映画の指針になった」とコメント。

 続けて「海で遊ぶ、実は誰も血のつながりのない家族を見ながら『ありがとうございます』と声に出さないでつぶやくのも希林さんのアドリブ。この2つがキーワードになって脚本を直した。そういうことをサラッとしてしまう、希林さんに頭が下がる」と話した。

 こう是枝監督が話している途中から松岡の目から涙があふれ、ついには号泣。そのまま会見は終了した。報道陣から「感動したんですか?」と聞かれた松岡は「はい。女優というものの素晴らしさに…」。最後は涙で言葉が聞き取れないほどになっていた。

 いったいなぜ泣いてしまったのか? この映画で妹と確執のある高校生を演じる松岡には、実際に妹がいる。しかもかつて、姉妹ともに子役として活動していた。

 このことを会見で聞かれると「妹と2人で同じ役を争うこともあって、家の中の風通しがよくなかった。でも今は妹は演技はやめて新しい道に進んでいて、たくましいです。そういうこともあって、この役は運命だと思いました」と話した。

 小さいころからの夢だった女優になる夢をかなえ、カンヌという晴れ舞台に立った松岡。そこで“大女優”樹木の素晴らしさを聞くうちに、涙が止まらなくなってしまったようだ。