東京五輪で注目の追加新競技「スポーツクライミング」大予習 アンジュルム・佐々木莉佳子が体験

2018年05月13日 11時00分

スポーツクライミングに挑戦するアンジュルムの佐々木莉佳子

【東スポ2020現場最前線】2020年東京五輪では、史上最多33競技339種目で争われる。その中で、復活する「野球・ソフトボール」を含む5競技(他に空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)18種目が新しい追加種目だ。そこで今回は誰でも簡単に始められるスポーツクライミングを紹介したい。そもそもどんな競技なのか。そして魅力とは? 人気アイドルグループ「アンジュルム」の佐々木莉佳子(16)が実際に体験してみた。 

 スポーツクライミングは自分の体一つで人工壁の突起物(ホールド)を登っていくシンプルなスポーツだ。五輪の追加種目として正式に決まったのは2016年。それ以来、確実に愛好者の数は伸びており、現在全国で約60万人、500ものジムがある(いずれも推定)。日本山岳・スポーツクライミング協会のユース日本代表ヘッドコーチを務める西谷善子氏(33)は「私がスクールで指導していたときは、下は3歳から上は75歳までさまざま。まさに老若男女で楽しめるスポーツですね」と語る。

 特別なコスチュームは不要。動きやすいスポーツウエアであれば十分で、Tシャツ、短パンでもOKだ。必要なのは足底がラバーで覆われた滑りにくい専用のクライミングシューズだけ。全体が真っすぐなものや内向きなものなどいろいろあるが、初心者は真っすぐなシューズで始めると良い。また、足首の可動域なども考慮して選ぼう。ちなみにシューズ価格は1万~2万円ほどだが、ジムでレンタルも可能だ(なお、ジム利用は1回2000円、シューズレンタル料300円が相場)。

「多種多様なシューズがあるので、とにかく自分がはきやすいと思うものを選ぶこと。これに尽きますね」と西谷氏。

 やるだけではない。トップアスリートたちのパフォーマンスは見るだけでも実にエキサイティングだ。五輪で争われるのは「スピード」(高さ15メートルの壁を2人の選手が同時に登り、速さを競う)、「ボルダリング」(高さ5メートル前後の複数の壁を4分以内にいくつ登り切れるかを競う)、「リード」(高さ12メートル以上の壁を6分以内にどの地点まで登れるかを競う)の3種目だが、西谷氏によると次の3点に注目すればより楽しめるという。

「1つは競技前のオブザーベーションです。ここで壁のホールドを選手たちが見て、どのルートで行くか検討するんですが、ライバル選手たちと相談ができるんです。『あっちの方がいいんじゃないか』とか『こっちに手を伸ばせる』とか。中にはウソを教える選手もいて、駆け引きもある(笑い)。こんなのは他競技で見ない光景でしょう」

 2つ目には「他国の選手の競技中、その国の言葉で選手たちを応援する」という慣例を挙げる。

「例えば日本人が登っていると、外国人から『ガンバ!』と声援を送られるんです。ほかにも仏選手なら『アレアレ』、米選手なら『カモン』、露選手は『ダバイ』、スペイン選手は『ベンガ』と、いずれも『行け』とか『頑張れ』の意味ですね。国際大会では、自他国で一体感が生まれるんです」

 最後は「ルートの答え合わせ」。ホールドの設置箇所によって、おおよそのルートを予想できるが、選手によっては、とんでもないルートを選ぶことも…。

「最近はダイナミックな動きで観客を沸かせることも求められています。ホールドからホールドにジャンプしたり。そういう意外性は楽しめると思います」

 白熱の競技とエンターテインメント性で会場は大盛り上がりだという。もちろん、指の保持力だけで競技するトップアスリートたちの身体能力はすさまじい。西谷氏は「満員電車でもちょっとしたヘリに指をひっかければ、びくともしませんよ」と笑う。

 日本はスポーツクライミング強豪国。メダル争いも期待できるだけに本番でも見る者を熱くさせそうだ。

 今回、佐々木が挑戦するのは「ボルダリング」だ。日本代表選手も練習するクライミングジム「マーブー」の時長武史氏の指導の下、まずは初心者用の簡単な壁にトライ。ところが…わずか70センチほど登って立ち往生してしまった。「どうしたらいいの!?」と、いったん降りようとするも、これもひと苦労。それでも佐々木は「私、負けず嫌いなんです!」。3度目の挑戦でようやく一番上のホールドに手を掛けることができた。

 難しかった部分について聞くと「次の動作を考えますね。手を次のホールドに掛けたほうがいいのか、足を掛けたほうがいいのか…。いざやろうとすると、怖くてできない」。すると時長氏は「ボルダリングのコツは、自然と手が伸ばせるような、体のバランスを保つこと。人間というのは、バランスが悪いと本能的に怖さを察知して、次の手が出ない」とアドバイスした。最後に佐々木は「実際に体験すると面白いですね。最近、選手たちの活躍がニュースで報じられていますし、東京五輪でも注目しています!」と改めて魅了されたようだった。

 ☆…東京大会で日本はメダル争いに絡む公算が大きい。中でもボルダリングは世界屈指の強豪国とされ、4月のW杯第1戦で女子の野中生萌(20)が優勝、第2戦では男子の楢崎智亜(21)が優勝したばかり。また、W杯を何度も制している“絶対女王”野口啓代(28=以上TEAM au)も健在だ。リードも男子の是永敬一郎(22=埼玉県連盟)が昨年初Vを飾るなど期待がかかる。課題はスピード。専用ジムが少ない上に、優勝争いにはほど遠く、現在急ピッチで強化が進んでいる。

【プロフィル】

 ささき・りかこ 2001年5月28日、宮城県生まれ。2014年10月、ハロー!プロジェクトに加入。現在「アンジュルム」メンバーで活躍中。新シングル「泣けないぜ…共感詐欺/Uraha=Lover/君だけじゃないさ...friends(2018アコースティックVer.)は9日発売。28日には日本武道館公演を行う。

 にしたに・よしこ 1984年5月29日、京都府生まれ。小学生から大学生まで陸上部に所属。高校時代、国体の山岳競技・縦走に参加し、2連覇。それを機にスポーツクライミングに転身する。国際武道大学卒業。鹿屋体育大学大学院博士課程修了。2016年から現職。18年からはJOC専任コーチングディレクタートップアスリート担当にも就任したほか、大学の非常勤講師も務める。

【撮影協力】クライミングジム「マーブー」(東京都武蔵村山市伊奈平1―72―1)。HPは【http://www.maboo.jp/】。