1933年、米国アラスカ州ユーコン川沿いのティムソーで、光り輝く謎の生物が目撃されるという事件が発生した。

 当時、現地に住むイヌイットの記録映像を撮影するために村に滞在していた撮影部隊は、村の長老から「この生物は吉兆をもたらす“神の獣”なので、撮影を中断して村から出た方がいい」と勧められたそうだ。

 現地の人々いわく、この神の獣は体長8メートル、全身が七色に光っているという。全体的にはクマに似ているが、顔が鼻面に向けて細くなっており、短い2本の角が頭部に生えているともされている。

 なお、この神の獣は後の報道では「大きさが約3~4メートル、毛皮も月のような黄金色に光る」と、前述よりは実在しそうな外見に変わっている。

 その後、1936年には同地に不時着したカナダ国籍の飛行機の搭乗員たちが、うなり声を上げて木々を倒しながら森の奥へと消える「白い小山のような怪物」を目撃した。朝になって現場を確かめてみると、枝が折れた跡に加え、直径90センチ、深さ約30センチもの足跡が残されていたという。

 1943年にはユーコン川で、釣り人が対岸に8メートルもの大きさのクマに似た生物を目撃。首から先は小さく、子馬のような顔をしていて、体はオレンジ色と草色の2色に発光していたという。

 この生物の正体については氷河期に生息し、今は絶滅している巨大ナマケモノではないかという説がある。南米大陸で化石が発見されている「メガテリウム」が有名だが、北米大陸にも「エレモテリウム」という外見のよく似た近縁種が存在しており、アメリカ大陸に進出した人類の狩猟の対象になっていたとみられている。

 本来であれば絶滅した生物であるが、極地に近いアラスカの気候であれば、環境の変化も他の地域に比べて緩やかだったので、生き残っている可能性があるかもしれない。

 もちろん現地の人がホッキョクグマを神格化して見ており、夜間かつ恐怖感がクマの姿をより大きな怪物の姿に誤認させた、とする見方もある。しかし、いずれのケースであっても毛皮が光るという点については説明がつかない。毛皮が自ら光を放っていたのではなく、毛皮に付着した燐光性バクテリアの影響が考えられる。このバクテリアが付着したものはホタルのような黄緑色に光って見えるのだ。

 数々の奇跡的な偶然が重なって生まれた生物が神の獣だったのかもしれない。

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