【107】インド・アッサム地方の謎の大トカゲ「ブル」

2015年06月19日 12時00分

キノグナトゥスの化石

 インド・アッサム地方には「ブル」という名前の大トカゲ型UMAが近年まで生息していたという話がある。

 ブルについては1951年にインドの新聞で現地の話題として報道され、英国のタブロイド紙「デーリー・メール」の後援で大トカゲ捜索隊が結成されたことで世界中に知られるようになった。

 ブルはアパ・タニス峡谷近辺の沼地に生息しているらしく、アッサム州と隣接したアルナーチャル・プラデーシュ州に住むアパタニ族の人々からブルの姿に関する詳細な情報が得られている。

 それによると、体長は4・2メートルほどで全体が灰色、腹部が白い色をしている。体は丸みを帯びており、尾が長く、首と手は短い。背中には小さいトゲのようなものが複数あり、手には鋭い爪が生えているという。他にも、「舌先が2つに分かれている」「灰色の肌にはまだら模様がある」といった報告もある。

 背中に小さいトゲがある点などからワニの誤認ともみられるが、ブルは草食性であるという。また上下に2本ずつ牙があり、残りの歯は平らだとも言われているため、草食に適した臼歯(きゅうし)の発達した顎を持っていると考えられる。

 このように、かなり詳しい情報が伝わっているブルだが、現地の人々によれば、ほぼ絶滅危惧種と言ってもいいほど個体数が激減しているらしい。しかし、ガンジス川支流のジャムナ川上流にあるアッサム州サディヤ村付近の沼などでは、ブルらしき大型のトカゲが目撃されるという話もあるようだ。

 さて、このブルの正体は何なのだろうか。前述の通り、一部はワニの誤認も考えられるが、それだと草食性であることと、上下2本の牙という特徴的な容姿との説明がつかない。

 だが、時代をさかのぼるとブルに酷似した容姿の生物が現れる。恐竜より古い、中生代三畳紀に生息していた「キノグナトゥス」と「ディキノドン」だ。これら2種はいずれも単弓類に属しており、爬虫類と哺乳類の両方の特性を持つ、哺乳類の先祖にあたるものだ。キノグナトゥスは上下2本の発達した犬歯を持ち、ディキノドンは上顎から伸びた2本の牙が特徴的な容姿をしている。うち、キノグナトゥスは肉食性なので草食性であるディキノドンが該当するのではないかとみられる。ディキノドン類は恐竜より早く、中生代三畳紀には絶滅していたとみられているが、2003年にオーストラリアで白亜紀後期の地層からディキノドン類と思われる化石が発見されていることから、地域によっては長きにわたって生息していたものと考えられる。

 世界に恐竜の生き残りではないかと考えられている未確認生物は多い。もしかすると、ブルも太古から生き続けてきた古代生物の生き残りなのかもしれない。

 

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