【75】黒部川源流の湿地帯にいるとされる正体不明の化け物「カベッケ」

2014年11月07日 12時00分

 上流のダムが有名な北アルプスを流れる黒部川源流。その薬師岳から雲ノ平の間に広がる湿地帯に「河化(カベッケ)が原」と呼ばれている場所がある。木道も整備されており、シーズンともなれば山歩きを楽しむ人々が多く訪れる。そんな自然豊かで風光明媚な山中に、正体不明の化け物が存在するという。

 その名は「カベッケ」。この地の語源にもなった謎の生物だ。

 カベッケは漢字で「河化」と書き、姿形も河童によく似ているという。河童といえば川や池などの水場に住み、水場に近づいた牛馬を引っ張り込んだり、人間をおぼれさせて尻子玉を取るとされている、日本古来の妖怪だ。

 しかし、カベッケの行動は少し違い、人間を迷わすために山中まで出てきて「おーい、おーい」と声をかけてくるのだという。この声にうっかり反応して返事をしてしまったり、声のする方向について行ってしまうと、行方不明になってしまうとされていた。

 なお、普段、水中に住むとされる河童が陸上で行動するのは珍しいように思えるかもしれないが、前述のとおり「河化が原」は湿地帯である。普通の陸地よりも水気が多く、近くに山林も多いので人を惑わすのにちょうどいいと、カベッケも考えたのかもしれない。

 また、一説によれば河童は冬の間は山に入り、全身に毛が生えて「山童」という名の別の妖怪になるともされている。夏場は川で、秋から春にかけては山を中心に生活して、人を驚かせたりするのだ。

 もしかすると、カベッケはこの地方に住む河童の冬の間の姿なのかもしれない。

 このカベッケは昔から仕事柄、山に登る猟師をはじめとした多くの人々に目撃されていたようで、名前もその特徴的な行動から「河童が化かす」が転じて「河化け」、そして現在の「カベッケ」へと言葉も変化していったようだ。

 これだけならば地元に伝わる妖怪の民話だが、なんと近年でもカベッケらしき生物の声を聞いたり、目撃した人は存在するという。

 1995年には砂の上に河童のような足跡が砂地で発見され、カベッケのものではないかということで話題になった。

 もしかすると、カベッケはトレッキングに訪れる人々の姿を今も遠くから見守っているのかもしれない。

 

 

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