オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第101回は「ダッガコドン」だ。

 長崎県の五島列島に伝わる子供の姿をした妖怪である。その集落では死んだ子供の数だけ「ダッガコドン」が存在すると言われている。つまり、幼くして命を落とした子供がこの妖怪に姿を変えるのだ。

 例えば、子供同士で遊んでいると知らない子供が一人だけ交じっている。その子供はダッガコドンであるという。気付いても、その子供に「どこの子供なのか?」「どこから来た子供なのか?」などと、その正体を尋ねてはいけない。恐ろしい報復を受けるといわれているからだ。いつまでも遊んで家に帰してくれないとか、殺されるとか噂されている。

 ダッガコドンが出た時は、取りあえず遊びを一時解散し、逃げて帰るのがよいとされた。また、地元で霊験あらたかな神社の神威を恐れているらしく、お札があるだけで逃げてしまうとされる。

 この妖怪の目撃者は、実家で就寝中になかなか眠れないでいたところ、突如、見知らぬ双子の子供が現れて、「この人、起きているから、連れて行こうか」と言われてしまった。しかし、その神社のお札が机の上に置いてあったため、助かったそうだ。東北地方における「座敷わらし」などに近い妖怪だと思われるが、昔はこの手の小さな子供のような妖怪はたくさん存在したと思われる。