誰もが一度は見たことがある? 浜辺に漂着した謎だらけの怪物死骸「ムーアズ・ビーチ・モンスター」

2022年07月22日 12時00分

ムーアズ・ビーチ・モンスター
ムーアズ・ビーチ・モンスター

【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑475】浜辺に謎の生物の死骸が漂着する事件は昔から世界中の海で報告されている。今ではこれらの謎の死骸は「グロブスター」と呼ばれることも多いが、そういった呼称がなかった時代は「どこそこに漂着した怪物」として紹介されていた。今回、紹介するのは、そんな死骸の中でも有名なこちらの怪物である。

 大きな岩や流木と共に流れ着いたらしい、奇妙な生物の死骸を見下ろす人々を捉えた写真。手前には人間よりもはるかに大きな、奇妙な幅広のくちばしを持つ頭部がごろりと転がっている。この写真は1925年にカリフォルニア州のサンタクルス・センティネルのムーアズ・ビーチ(ナチュラル・ブリッジズ・ステート・ビーチ)で発見された謎の生物の死骸だ。日本では頭部が手前に転がっている構図の写真がよく知られているが、頭部を横から捉えた写真も存在している。横から見ると怪物の目はかなり小さく、秀でた額のせいで一見、目がないようにも思えてしまう。

 まるで正体が分からないこの死骸だが、地元の漁師からは怪物を目撃したという証言が複数寄せられていたそうだ。漂着する数日前、ある人物が砂利運搬のトラックを運転中に奇妙な光景を目撃したという。

「海沿いの道を運転していたら、それほど遠くないところにいた若いアシカの群れの様子がおかしいことに気づきました。アシカたちは一列に並び、数頭の大きなアシカが群れの前を行ったり来たりしながら泳いでいました。するとはるか沖合で水が泡立ち、巨大な生物が空中高く舞い上がるのが見えました。それは大きな魚のようで、全身がつやつやしていました。その怪物には1ダースかそれ以上のアシカが群がっており、戦っているように見えました。怪物の体長は9メートルはあったかと思います。道路から見える限り戦いは続いていました」

 男性によればこの大きな怪物はこれまで見たことのない生物だったそうで、「アシカとの戦いで傷付いて漂着したのかもしれない」と語っていた。他の目撃者からは怪物には毛皮があったとか、翼が生えていたとか、かぎ爪のある足を持っているという証言さえあったという。

 さて、この漂着死骸はチャールズ・ムーア氏によって発見された後、博物学者のE・Lウォレス氏によって念入りに調査された。ウォレス氏の調査によれば、大きな頭部には歯がなく、首の長さは約6メートル。胴体はあまり残っておらず、尾は背骨の端からわずか90センチほどしかなかったという。大きな生物ではあるが、鯨の骨よりも小さく、尾が短かった点と変わった形状のくちばしから、ウォレス氏はこの生物を「プレシオサウルスの一種ではないか」と考えたようだ。そして後にウォレス氏は「この怪物は氷河の中で何百万年も氷漬けになっていたが、氷が徐々に溶けて解放され、最後にモントレー湾の海岸に漂着したのではないか」という仮説を上げていた。

 非常に興味深いこの怪物だが、地元でも大きな事件だったためか、この生物の頭蓋骨は珍しくきちんと保管されていた。その後、頭蓋骨を分析した結果生物の正体がオオギハクジラであることが判明したのである。

 しかし、謎はまだ残る。前述の運転手や漁師たちが目撃していた謎の生物は、クジラとは明らかに違う特徴を備えていた。どうやら真の謎は漂着死骸とは別のところに存在したようだ。

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