【山口敏太郎の現代妖怪図鑑71】「怪人アンサー」携帯電話普及期に捏造された現代妖怪

2022年01月05日 11時30分

怪人アンサー
怪人アンサー

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第71回は「怪人アンサー」だ。

 多くの人がだまされた現代妖怪が「怪人アンサー」だ。単に「アンサー」とも呼ばれる。2002年に捏造されたインチキ妖怪である。

 都市伝説の流布のプロセスを研究するために一部の研究家が流したとされているが、真実は定かではない。おそらく、悪趣味な都市伝説マニアがイタズラで流したのであろう。この時期、都市伝説サイトや妖怪サイトにアンサーについて多くの投稿が行われた。

 内容は次の通りである。10人が集まって円形を作る。そして隣の人の携帯を鳴らす。それぞれが隣の人に電話をかけているため、どれも通話中のはず。だが、1本だけ別人につながる電話が出てくる。その相手こそがアンサーなのだ。アンサーはどんな質問にも答えてくれる。だが、最後にアンサー側から質問が出される。それに回答できないとアンサーがやって来て、体の一部をもぎ取られてしまうという。

 アンサーは頭だけで生まれてきた存在で、人間に質問を返すことにより、自分の体を全て取り戻そうとしているのだ。

 携帯電話が普及した当時らしい設定であり、円形になるというのは、招霊術をほうふつさせる。頭だけで生まれてきたという設定は手塚治虫氏の漫画「どろろ」のキャラクター「百鬼丸」のパクリであろう。妖怪に詳しい者が漫画や民俗学をもとに作り上げたと推測できる。

 あくまで妖怪は自然に生まれ、流布し、熟成するものだ。意図的に創作し、作為的にネットに投稿して都市伝説を広げるのは間違いである。悪趣味なイタズラと言えよう。

【山口敏太郎】作家、ライター。著書「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」など200冊あまり。テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。ユーチューブでオカルト番組「アトラスラジオ」放送中。

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