アイヌが目撃した怪獣は伝説のカムイだったのか?「ユーラップ岳の怪獣」

2021年12月17日 12時00分

北海道二海郡八雲町にある遊楽部岳(グーグルアースから)
北海道二海郡八雲町にある遊楽部岳(グーグルアースから)

【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑445】世界各地のさまざまな未確認生物を紹介してきたこのUMA図鑑だが、UMAの中には妖怪のような側面を持つものも少なくない。

 現地に昔から住んでいた人たちにも目撃され、その姿が脈々と伝えられていたり、現代でもあまり変わらない姿で目撃されたりすることもある。例えば、北米大陸の「ビッグフット」はネーティブアメリカンたちに目撃され、「サスカッチ」の名前で呼ばれていたし、オーストラリアの「ヨーウィ」や「バンイップ」もアボリジニの人々に目撃されていた。

 今回紹介するのはアイヌの人々が昔から目撃し、言い伝えられていたという「ユーラップ岳の怪獣」だ。

 北海道の二海郡八雲町にある遊楽部(ゆうらっぷ)岳を登っていくと、遊楽部川の水源にたどり着く。それほど高い山ではないそうだが、この地域に昔から住んでいる八雲アイヌの人々は常々「この山に深く入ってはいけない」と言い伝えてきたという。なぜならこの山にはクマが多く住んでおり、恵みをもたらすカムイの住む山だとされていたからだ。

 ある時、その言い伝えを破って足を踏み入れてしまった者が恐ろしい怪物を目の当たりにした。それはイルカほどの大きさがあり、ワニやトカゲを思わせる姿で黒光りする体をしており、翼を持っているが地べたを這いずり回って動くという。また、毒気を吐くようで、この生物の周囲にある雪や水は、血のように粘性をもち赤黒い色に染まるという。

 この怪物はアイヌの伝説に登場する毒と翼を持つ蛇神である「オヤウカムイ」の化身とされ、姿を見られたり、すみかである神域を汚されたりすると激しく怒るそうで、姿を見た者や住みかを荒らした者は罰として死に至るとされていた。しかし、この怪物がはいまわったところにあった泥や土を体に塗ることができれば、死からは逃れられるとも言われているそうだ。

 どこまでが本当かは分からないが、過去に地元の八雲中学校の卒業生と3人の同校教諭が、この山に詳しいアイヌの案内役と共に遊楽部岳を踏破し、怪獣の住みかを探そうとしたと言われている。

 結果、天候が荒れたため3日かかって頂上にたどり着き、下山に成功したものの、怪獣の住む水源や沼地は発見できなかったそうだ。

 伝説の怪獣は今も山のどこかに潜んでいるのだろうか。しかし怪獣がアイヌの人々に恐れられ、敬われている神でもあるカムイであったとするならば、この怪獣は見つからない方が幸せなのかもしれない。

※参考文献「山の不思議海の怪異:海・山に探る妖怪変化の正体」(島影盟著、森田書房)

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