【山口敏太郎の現代妖怪図鑑68】遺体焼き場で背後からぶっかけてくる「砂かけ」

2021年12月08日 11時30分

砂かけ
砂かけ

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第68回は「砂かけ」だ。

その妖怪は、とある村の遺体の焼き場に出没した。村人が遺体を焼く火の番をしていると、背後から何者かが「パラパラパラパラ」と砂をかけてくる。これが「砂かけ」である。

 砂をかける行為は一部で神事として解釈されている。奈良地方において見られる「砂かけ行事」に代表されるように、ばらまかれる砂を雨とみなして投げるのである。だが、その場合は雨乞いというよりも魔よけの色彩が濃いような気がする。

 砂かけと聞くと、どうしても水木しげるさんの鬼太郎ファミリーの中心メンバー「砂かけ婆」を想起してしまう。これはもともと京都の妖怪で、竹林などに住んでおり、通りかかる人に砂を振りかけるといわれている。姿は誰も目撃していないが、なぜか老婆であると伝承されている。これは地方によって呼び方が変わり、九州の福岡では「砂放り婆」と呼ばれており、滋賀県では「砂まき婆」と呼ばれている。

 話を戻すと、砂かけが出ると新しい命が村に生まれるとされる。そう考えると輪廻転生というか生命が生まれ死んでいくのを表現しているようにも思われる。砂かけは死者の代わりに赤ちゃんを連れてくるといわれた。今となってはその焼き場も廃止され、近代的な火葬場が建っている。

【山口敏太郎】作家、ライター。著書「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」など200冊あまり。テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。ユーチューブでオカルト番組「アトラスラジオ」放送中。

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