【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑442】未確認生物の中には、時折ファンタジーの世界から出てきたような奇妙な姿や特徴を備えたものがいる。近年でもゲームの中からそのままの姿で飛び出してきたようなドラゴンの姿を捉えた動画(極めてフェイクの可能性が高い)がネット上に出回って注目を集めていたが、そもそも昔から伝わっている未確認生物の中にはとんでもない姿で伝わっているものもいる。

 米国の「グローツラング」や北米の「ピアサ」などはかなりファンタジックな外見の未確認生物と言えるだろう。

 今回紹介する「スワンバレー・モンスター」もまた、かなり独特かつ強烈な見た目の未確認生物だ。スワンバレー・モンスターはアメリカのアイダホ州にあるスワン・バレーという静かな町で目撃された。スワンバレーはその名のとおり、緑豊かな大地を流れるスネーク川が美しい景勝地だが、この川になんとも不気味な姿の生物が姿を現したという記録がある。

 1868年8月22日、村の年寄りが舟でスネーク川を渡っていたところ、水面下から象の鼻のようなものが立ち上がり、水を吹き出しはじめた。そして彼の見ている前で、非常にグロテスクな姿の巨大生物が顔を出したのである。その生物は蛇のような頭に上下に動き続ける一本の角、顔の両側には長く黒いヒゲが見えたという。口には約25センチもの長さの牙と、緑色の毒を吹き出す赤い先の割れた舌があった。

 川を渡りきった老人はすぐに高台に逃げようとしたのだが、なんとその生物は老人の後を追いかけてきた。川から上がってきたその生物の体長は6メートルにおよび、体の前半分は子牛ほどの太さがある蛇のようで、緑がかった黄色に赤と黒の斑点があった。しかし、後ろ半分は手のひらほどの大きさの虹色のウロコに覆われた魚のような姿だったという。背中にはヤマアラシのような光沢のある黒いトゲが頭から尻尾まで並んで生えており、ヒレの下には複数の足があった。最初の足はヒヅメが生えており、続いて2本の足には肉食獣を思わせる鋭利な爪があったという。足は全部で10本、ヒヅメの足と爪のある足が交互に生えていたようだ。

 体から悪臭をまき散らしながら土手をはい上がってくる化け物に対し、老人はショットガンで応戦。目と腹に数発撃ち込むと、怪物はうめき声をあげて動かなくなった。しかし、倒れた際に周囲に毒をまき散らしたため、死体の周辺に生えていた木や草はすべて枯れてしまったという。

 このまま死骸を放置しておくわけにはいかなかったが、到底一人では運べない大きさだったため、老人は町に戻って馬車と6人の屈強な若者を連れてきた。怪物の発する臭いは相当なもので、約90メートル先からも漂ってくるのが分かるほどだった。

 連れてきた一人は馬が逃げないようにそばにいなければならなかったし、もう一人は気分が悪くなって現場に近づくことができないほどだった。しかし驚くべきことに、怪物が倒れた土手にたどり着いた人々が目にしたのは、枯れた草木と水辺に続く道だけだった。状況から、この怪物は最後に川に戻ったのだろうとみられている。

 スワンバレー・モンスターが目撃されたのはこの1回だけだ。怪物を目撃したのは老人一人だが、怪物が残した痕跡は複数人が確認しているため、全てがうそとも言えないようだ。願わくは、この後にも目撃証言が出てきてほしいものだが、類似した怪物の話は全く聞こえてこないため、「最後の1匹を撃ち殺してしまったのかもしれない。


【参考動画】
https://www.youtube.com/watch?v=Qn9TbAEcB_Q
【参考記事】
https://cryptidz.fandom.com/wiki/Swan_Valley_Monster?fbclid=IwAR30HR4NxhW43Z3xrux_l5-cQVbRxrlD11fdDLUqlOEfNw1OVchy7TpzC3k