オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第66回は「すきま女」だ。

 現代妖怪の一種である。体の厚さが2ミリから5ミリ程度である。もう少し分厚い数センチのヤツもいる。厚みがない幽霊と解釈しても間違いない。家具と家具の隙間に潜んでいたりする。それ以外でも、あらゆる隙間に姿を潜めている。

「すきま女」にとりつかれると、家中の隙間という隙間をガムテープでふさがなくてはならない。そうしないと隙間に引き込まれてしまうからだ。主に独身男性に憑依(ひょうい)するといわれ、当然、精神的に参ってしまう。

 もともとは桜金造さんの得意ネタの一つだが、現代においてのルーツはラジオ番組「誠のサイキック青年団」(ABCラジオ)の心霊特集ではないか、と山口敏太郎は推測している。同番組では、名古屋にある古い旅館に出る妖怪とされ、タンスと壁の隙間から姿を現すとされていた。

 一応、これがすきま女という名前の最初の報告と思われるが、実はもっと昔、江戸時代や昭和の怪談本にも似た話がある。また筆者が行った、埼玉県にまつわる怪談の収集作業において、「家と家との隙間に女がいた」との心霊体験を語った女性がいた。つまり実体験として、すきま女を目撃している人物もいるのだ。

【山口敏太郎】作家、ライター。著書「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」など200冊あまり。テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。ユーチューブでオカルト番組「アトラスラジオ」放送中。