【山口敏太郎の現代妖怪図鑑58】波鬼 地震対策で誕生!? 

2021年09月22日 11時30分

波鬼
波鬼

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第58回は「波鬼」だ。

 海は人間に多くの幸を与えてくれる。逆にすごい不幸を人間に与えることがある。その複雑な思いを妖怪として表現したのが「波鬼」かもしれない。

 波鬼が出現する時は魚が一匹もいなくなるという。これなどはUMAが出現する前触れの現象と同じである。そして、生暖かい風が漁師の頬をなでると波鬼が出現するのだ。

 波鬼は巨大な拳となって出現する。人間に対する怒りを表現したのだろうか? 巨大な手が海面上まで突き上がってくる現象は、千葉・銚子の妖怪「もうれんやっさ」と同じである。もうれんやっさは巨大な手のひらに大きな目があり、操業中の漁民を襲うといわれている。海で亡くなった漁民の魂が妖怪化したものだそうだ。

 一方、波鬼の正体ははっきりしない。海から突き出た巨大な拳で船をこっぱみじんにするとか、手のひらで船を包み込んでしまうなどといわれている。

 波鬼によって海底に引き込まれた漁民や船は二度と浮かぶことはないそうだ。波鬼と出ってしまった時は沖合に船を走らせると良いとされる。決して間違っても陸に船を走らせてはいけない。

 なぜかというと、沖合ではたくさんの波によって波鬼が消されてしまう。逆に港の近くでは、波鬼は1000匹に増えるという。近海でしか活動できない妖怪なのだろうか。よくよく考えてみたら、生暖かい風が吹いてくるとか、魚がいなくなるとか、地震の前兆に似ている。沖合に逃げろという方法も津波対策に似ている。

 ひょっとしたら波鬼とは、昔の人が地震対策のことを考えて作り出した妖怪かもしれない。

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