【UMA図鑑(50)】高知、和歌山県で伝承される海にすむ獣「海犬」

2014年05月16日 12時00分

写真上は熊野灘、下はジェヴォーダンの獣

「海に犬がいる」という情報があっても、なかなか信じることはできない。かつて、海の中をすみかとした犬がいたというのだ。

 でも、よく考えてもらいたい。陸生動物の水生動物化は珍しいことではない。かの有名なアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」でも鬼太郎が「ゼオクロノドン」(大海獣)になったことを記憶している者もいるだろう。このゼオクロノドンは実在した古代クジラ「ゼウグロドン」がモデルであろうが、これら太古のクジラたちは、陸から海へ進出していった。

 つまり、クジラやイルカは陸上で四足歩行していたのだ。その後、海に適応して水生哺乳類となったわけであり、和歌山の水族館には、先祖返りで足に生えたクジラがいたのだ。

 ちなみに海の哺乳類と陸の哺乳類は共通の先祖を持っている。なるほどと思う組み合わせなので紹介しておく。ゾウとジュゴンは共通の先祖を持っており、猫や犬とアシカは共通の先祖を持っている。アシカがショーで数々の演技をこなし、調教師になつく様は確かに犬と似ている。

 日本にはかつて海にすむ獣で「海犬」と呼ばれるものがいたという。海犬に関しては高知県、和歌山県に伝承が残されている。何らかの生物がモデルになったものではないだろうか。

 高知県の海犬のエピソードはこんな感じだ。内藤惣三郎が浦役人(港の管理者)を務めていた時に起きた事件である。2月1日の夜の船を出して釣りをしていると、にわかに波が高くなり、何者かが舳先(へさき=船の先)をかじっている。怖くなって命からがら浜に帰り、翌朝船を調べたところ、幅五分の歯形がついていたという。長老の話によると海犬がかじったということであった。幡多郡の外浦や内浦にも出て、船にかじりついて船の行方をとめたという。

 和歌山県の「青い海犬」伝説も興味深い。海の底にすんでいる青い犬であり、海で死んだ子供たちの魂が集まってできた犬だという。人間が2人以上いると出て来ないが、幼い子供が1人で海辺にいると、海中から出てきて子供を海底に引きずり込む。このあたりの魔物ぶりは「黒犬獣(ブラックドック)」をほうふつとさせる。

 ゆえに熊野灘の海辺で暮らす子供たちは昔、暗くなると海犬に引きずり込まれるので海辺に行ってはいけないと言われた。暗くなって海辺に行って貝殻を耳にあてると「ルルル、ルル、ルル」という声が聞こえる。これが海犬の鳴き声だという。

 実は浅瀬を生活の場とした海洋犬という生物がいたのかもしれない。

 

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