オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第56回は「姦姦蛇螺(かんかんだら)」だ。

 2009年ごろのインターネットへの投稿が「姦姦蛇螺」の初出だ。

 三対の腕を持つ裸の女性の上半身と、大蛇の下半身を持つ。常に笑ったような顔をしている。人里離れた山奥に有刺鉄線で囲われた広い区画があり、そこで放し飼いにされており、敷地内に立ち入った者を狙う。敷地内の奥には6本の木にしめ縄を張り巡らせた空間があり、中央に箱が置いてある。箱の底の中央にはつまようじが奇妙な形に並べられている。

 これらの異様な物体は全て姦姦蛇螺をその場に封印しておくためのものだった。しかし、投稿者たちが中に入り、一人がつまようじを動かしてしまったせいで、この妖怪に狙われることになった。

 姦姦蛇螺はもともと強い力を持った巫女であった。村人を食い殺す大蛇の退治に向かったところ、力及ばず下半身を食われてしまう。しかも、村人に裏切られて両腕を切り落とされ、大蛇にのみ込まれてしまった。

 しかし、巫女は大蛇と一体化し、姦姦蛇螺となった。村人を呪い殺した。その後、生き延びた人々が封じ込めることに成功したが、あくまで特定の範囲に捕らえておくことしかできなかった。それが山奥の奇妙な仕掛けの数々だったのである。

 実は筆者のもとには「この妖怪を見たかもしれない」という証言が寄せられている。気になる人はネットで「自衛隊が遭遇した魔物!テケテケ?姦姦蛇螺?」で検索して、山口敏太郎のユーチューブチャンネルの動画を確認してみてはいかがだろうか。