オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第46回は「雪様」だ。

 空から降り注ぐ雪に交じって木の葉形をした“雪文”というものが落ちてくることがあるそうだ。木の葉の形をしている雪なのだが、消える瞬間、山で亡くなった人の最期の言葉を届けてくれるという。

 息子を山で亡くした夫婦は、ある時、雪文を受け取った。雪文は消える瞬間に「春になったら帰る」という息子の声を届けてくれた。その言葉どおり、息子の遺体は翌年の春に発見された。

 この雪文は、雪山の神のような存在「雪様」が、山で死んだ人を気の毒に思い、その身内やいとおしい人に届けてくれるらしい。雪様はさまざまな姿をしているが、足元で雪うさぎが遊んでいるのが特徴である。

 この雪様は「雪ん子」や「雪女」の類いであろうか…。