【山口敏太郎の現代妖怪図鑑42】形代を使う山神の一種「サンコーさん」のモデルは山の民?

2021年06月02日 11時30分

サンコーさん

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに、現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げていく。第42回は「サンコーさん」だ。

 山神の一種であると言われている。山菜やキノコ採りのため山中に入った人が移動していると見知らぬ場所に出ることがある。その場所は下草が刈られており、平べったい空間になっており、明らかに人間の手が入った形跡がある。その場所は「サンコーさん」のいる場所だとされる。

 そこに小さな祠(ほこら)が祭られており、その祠には木彫りの人形が何体か収められている。その人形とは、その年に「サンコーさん」が命を取ると決めている人間の数だという。その広場に行き当たった人は、「サンコーさん」が命を取ると決めた人数に含まれることはなかった。しかし、その後、二度とその広場を見つけることができなかったそうだ。

 山の神は非常に恐ろしい存在であり、人間の命を奪う場合と守ってくれる場合がある。また一説によると山の神は女神であると言われており、落とし物やなくし物をした場合は、男性のシンボルを出して小便をすると遺失物を出してくれると伝えられている。

 この話だが、少々、妙なところがある。通常、山の神が人間の命を奪う時に形代(かたしろ=紙や木などで人間を模したもの)を使うということはありえない。形代を使うのは、神主や呪術師など、あくまで人間だからだ。それに祠や広場にも人間の手が入っている。

 これらのことから、「サンコーさん」は山の民・サンカ(漢字の表記はなく、当て字で山家などと表記することがある)がモデルになっているのではないだろうか。ひょっとしたら「サンコーさん」は「山公さん」とでも表記するのではないだろうか。

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